利尿薬の覚え方・ステム

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作用機序

こちらも薬学生の方からリクエストがあったので記事にしてみました。

どんな作用機序なのか、どんな副作用があるのか出題されやすいですね。

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ネフロンのおさらい

ネフロン=糸球体+ボーマン嚢+尿細管でしたね。

順に、近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管がありますが、それぞれの部位の特徴をおさえておくことで、利尿薬の作用機序、疾患の病態がわかるようになります。

水とNaは同じ動きをします。

尿細管役割Na再吸収の割合
近位尿細管NaやHCO3-、アミノ酸、尿酸、糖の再吸収70%
ヘンレループNa-K-Cl共輸送体によりNa再吸収20〜30%
遠位尿細管Na-Cl共輸送体によりNa再吸収、H+やK+の分泌5〜10%
集合管Ald(Na再吸収)、バソプレシン(水の再吸収)1〜3%

それぞれ水やNaを再吸収しています。その働きを阻害することで利尿薬として作用するわけです。

利尿薬の作用部位

画像3

【ユニークなナトリウム利尿薬】K保持性利尿薬(ミネラルコルチコイド拮抗薬)【ENaCはナトリウム再吸収の最後の砦】|循環器Drぷー
※2021/3/1一部修正. 今回は,K保持性利尿薬(ミネラルコルチコイド拮抗薬:MRA)について. スピロノラクトン(アルダクトン®),エプレレノン(セララ®),エサキセレノン(ミネブロ®)ですね. 1.K保持性利尿薬(MRA)の作用機序 腎臓の遠位尿細管~皮質集合管には,アルドステロン依存性にはたらく上皮性ナトリウ...
利尿薬作用機序副作用
■炭酸脱水酵素阻害薬
アセタゾラミド
近位尿細管でHCO3-再吸収阻害代謝性アシドーシス、アルカリ尿、低カリウム血症
■SGLT2阻害薬
〜グリフロジン
近位尿細管でSGLT2を阻害
Na・糖再吸収阻害
脱水、尿路感染
正常血糖ケトアシドーシス
■ループ利尿薬
5文字で〜ニド・ミド
ヘンレループ上行脚でNa-K-Cl共輸送体を阻害低カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症
■サイアザイド利尿薬
〜チアジド
遠位尿細管でNa-Cl共輸送体を阻害低カリウム血症、高カルシウム血症、低ナトリウム血症、高尿酸血症、耐糖能異常

■カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン
カンレノ酸
エプレレノン
トリアムテレン
エサキセレノン

集合管でミネラルコルチコイド受容体を阻害
トリアムテレンはNaチャネル阻害
高カリウム血症、女性化乳房(スピロノラクトン)
■水利尿薬
〜バプタン
集合管でV2受容体を阻害高ナトリウム血症、高尿酸血症、耐糖能異常
利尿薬と疾患の関連についての記事はこちらになります。
Bartter症候群とGitelman症候群の違いや覚え方、ゴロ

利尿作用の大きさ・適応疾患

尿細管役割Na再吸収の割合
近位尿細管NaやHCO3-、アミノ酸、尿酸、糖の再吸収70%
ヘンレループNa-K-Cl共輸送体によりNa再吸収20〜30%
遠位尿細管Na-Cl共輸送体によりNa再吸収、H+やK+の分泌5〜10%
集合管Ald(Na再吸収)、バソプレシン(水の再吸収)1〜3%
表の再吸収率からすると、近位尿細管を阻害する薬剤がもっとも利尿作用があると思いかもしれませんが、実は近位尿細管を阻害した分、下位にあるヘンレループや遠位尿細管での再吸収が亢進するため、炭酸脱水酵素阻害薬の利尿効果は小さいです。房水産生抑制作用のため緑内障や、副作用のアシドーシスによる呼吸中枢刺激のため高山病に用いられます。
 
近位尿細管阻害では最大の利尿効果は得られないため、その下位のループ利尿薬が最大の利尿作用を有します。そのためループ利尿薬は浮腫に有効です。一方、サイアザイド利尿薬は利尿作用は弱く、主に降圧薬として用いられます。

副作用

低カリウム血症

集合管より上流に作用するNa利尿の薬剤は基本的に低K血症をきたします。なぜかというと、上流でNaを尿中に捨てさせると、集合管に届くNaの量が増えるため、体はNaを取り戻そうとアルドステロンが分泌がされ、その作用であるNa再吸収・K排泄が亢進するためです。
 
一方、アルドステロン(ミネラルコルチコイド)に拮抗するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は高K血症を呈します。
 

高尿酸血症

ループ利尿薬もサイアザイド利尿薬も尿細管中へ分泌されて、尿細管の内側から作用を発揮します。この尿細管中へ分泌される際に、尿酸と競合するため、高尿酸血症を呈します。

理解度を国家試験問題でチェック

薬剤師国家試験 101回 問158

利尿薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 インダパミドは、Na-K-2Cl共輸送体を選択的に阻害する。
 ブメタニドは、Na-Cl共輸送体を選択的に阻害する。
 トラセミドは、Na-K-2Cl共輸送体を阻害するとともに、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体を遮断する。
 カンレノ酸は、集合管上皮細胞のNaチャネルの発現を抑制する。
 トリアムテレンは、集合管上皮細胞のNaチャネルを遮断する。

正解・解説はこちら
正解は4,5です。

1.〜パミドはサイアザイド類似薬で作用部位も作用機序もサイアザイドと同じです。Na-Cl共輸送体の誤り。

2.5文字の語尾ニドなのでループ利尿薬です。Na-K-Cl共輸送体の誤り。

3.5文字の語尾ミドなのでループ利尿薬です。遮断するのはアルドステロン受容体の誤り。


 

薬剤師国家試験 104回 問156

利尿薬の主な作用機序及び作用部位の組合せのうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

正解・解説はこちら
正解は4,5です。

1.エプレレノンは集合管に作用しますが、アルドステロンに拮抗します。

2.5文字の語尾ニドなのでループ利尿薬です。Na-K-Cl共輸送体の誤り。

3.作用機序は合ってますが、作用部位は近位尿細管の誤り。


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

コメント

  1. ぽん より:

    リクエストした薬学部4年の者です。
    お忙しいのに本当にこのクオリティの記事をこの早さで出していただいて本当に感謝しています。毎日端から端まで読み込んで、頭に焼き付けようと頑張っています( ; ; )ありがとうございます( ; ; )

    あの、連続のリクエストで申し訳ないのですが、分析の範囲がとても苦手で、イムノアッセイや電気泳動の範囲の上手い覚え方がもしありましたら教えていただけると助かります…もし、もし可能でしたらお願いします🙇‍♀️

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