アレルギーはⅠ型は△がメインで、Ⅱ型は◯とか、最初のうちは覚えにくいですよね。
アレルギー分類の覚え方を記事にしてみました。
分類と覚え方
まとめてみました。
Ⅰ型 | Ⅱ型 | Ⅲ型 | Ⅳ型 | |
名称 | 即時型 アナフィラキシー型 | 組織障害型 | 免疫複合型 | 遅延型 ツベルクリン型 |
覚え方 | Anaphylaxis | B(AntiBody)抗体 | Complex(複合体) | Delayed(遅延) |
関与 | IgE、肥満細胞 | IgG、IgM | IgG、IgM、IgA | 感作T細胞、Mφ |
補体 | なし | あり | あり | なし |
疾患 | アナフィラキシー 蕁麻疹 気管支喘息 アトピー性皮膚炎 アレルギー性鼻炎 | 自己免疫性溶血性貧血 免疫性血小板減少性紫斑病 Goodpasture症候群 橋本病 Rh不適合妊娠 ADCC(抗体依存性細胞障害) 水疱性類天疱瘡 | 全身性エリテマトーデス 関節リウマチ 急性糸球体腎炎 IgA血管炎 クリオグロブリン血症 血清病 | 接触性皮膚炎 移植片対宿主病 ツベルクリン反応 類上皮細胞肉芽腫 薬剤アレルギー |
こうすると、それぞれの型かどんな機序だったか確認することができます。
例えば、Ⅰ型はAnaphylaxis(アナフィラキシー)で、該当する疾患もアトピーやアナフィラキシーなど、ほとんどがAから始まります(気管支喘息=asthma)。
Ⅱ型はAntiBody抗体が結合した相手を障害するので赤血球や血小板、血管、甲状腺が対象となります。
Ⅲ型はComplex免疫複合体が全身に沈着し、その沈着先の血管、腎臓や関節を障害します。
Ⅳ型はDelayed遅延型で、なぜ遅延なのかというと、Tリンパ球が感作されるまでに時間がかかるためです。
時事メディカルより引用
他の科目と繋げてみましょう
こういった基礎医学の知識って臨床医学とリンクすると理解が深くなりますし、忘れにくくなります。
腎臓
例えば、糸球体疾患のうち補体価が低下する疾患はループス腎炎、PSAGN、MPGNが代表的でしたが、これらはⅢ型アレルギーの項目に含まれています(正確にはMPGNの原因となるクリオグロブリン血症が記載されています)。
Ⅲ型アレルギーは免疫複合体が血流にのって全身に散布され、各部位で補体を活性化してしまうため補体が消費されやすいと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
血液・腫瘍
悪性リンパ腫に対して用いられる抗体製剤といえばリツキシマブが有名ですが、その作用にはADCC(抗体依存性細胞障害)が関与しています。
ADCCは抗体が結合した腫瘍細胞に対して、マクロファージやNK細胞が呼び寄せられ腫瘍細胞を障害することです。
これは抗体が関与して、抗体が結合した相手を破壊しているのでⅡ型アレルギーに分類されます。
膠原病
マムシに咬まれた際に血清を打ちますが、これはウマ由来の毒素抗体です。ウマ由来なのでヒトにとっては異物ですのでそれに対する抗体が作られます。これで免疫複合体が形成され、アレルギー反応が起こるのが血清病です。
一方、インフリキシマブはTNF-αに対するヒト/マウスのキメラ抗体です。
マウス由来の部分は異物なのでそれに対する抗体ができます。それにより中和抗体ができてしまうと薬の効果が出なくなってしまいますし、免疫複合体が形成されると投与することでアレルギー反応が起こってしまいます。
だからインフリキシマブを投与する際には、抗体が作られないようにメトトレキサートを併用するのでしたね。
国家試験問題で理解度をチェック!
医師国家試験 104B17アレルギー反応の分類と疾患の組合せで正しいのはどれか。a I型アレルギー ——— 免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉b II型アレルギー ——— 混合性結合組織病c III型アレルギー ——— クリオグロブリン血症d IV型アレルギー ——— Goodpasture症候群e V型アレルギー ——— 慢性甲状腺炎〈橋本病〉
110E20
III型アレルギーによる疾患はどれか
a 蕁麻疹b 水疱性類天疱瘡c アトピー性皮膚炎d アレルギー性接触皮膚炎e Schönlein-Henoch紫斑病
107G14
IV型アレルギーに分類されるのはどれか。
a 喘息b 蕁麻疹c アナフィラキシーd アレルギー性鼻炎e アレルギー性接触皮膚炎
医師国家試験 113E21
輸血開始1時間後に、発熱、悪寒および呼吸困難が出現し、血圧が低下した。
可能性が低いのはどれか。a 輸血関連急性肺障害
b 異型輸血による溶血
c エンドトキシンショック
d アナフィラキシーショック
e 輸血後移植片対宿主病〈GVHD〉
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば嬉しい限りです。
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