薬剤師も医師もそれぞれの薬剤に特徴的、重要な副作用を覚えなければならないのですが、薬学生の時は副作用のイメージが湧かず覚えにくいという思いがありました。
疾患や副作用を覚えにくいのは、具体的なイメージを抱けていないのが一因かもしれません。
医師国家試験は症例を提示してあるので勉強しやすいですし、服用後にどんな症状が出て副作用が疑われるのかをセットで勉強できると思います。
画像問題もあるのでイメージしやすいと思います!
スタチンによる横紋筋融解症
第106回医師国家試験 G42より引用
37歳の女性。右側のふくらはぎが痛むことを主訴に来院した。1年前の職場の健康診断で脂質異常症を指摘されたため、その後は毎日4kmのウォーキングを継続していた。1週前に社内の診療所で検査したところ、総コレステロール302mg/dL、トリグリセリド125mg/dLであり、改善していなかったため、同日に処方された治療薬の内服を開始した。3日前から右ふくらはぎの痛みがあり、心配になって受診した。身長162cm、体重58kg。右上眼瞼に黄色腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右側下腿を把持すると強い疼痛を認める。血液生化学所見:尿素窒素31mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸7.2mg/dL、総コレステロール256mg/dL、トリグリセリド131mg/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 45U/L、ALT 40U/L、LD 203U/L(基準176~353)、ALP 288U/L(基準115~359)、γ-GTP 12U/L(基準8~50)、CK 1,889U/L(基準30~140)、Na 137mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。
この患者に投与された可能性が最も高いのはどれか。a エストロゲン
b 甲状腺ホルモン
c 陰イオン交換樹脂製剤
d エイコサペンタエン酸
e HMG-CoA還元酵素阻害薬
チアマゾールによる無顆粒球症
第108回医師国家試験 D42より引用
42歳の女性。2日間の咽頭痛と40℃の発熱を主訴に来院した。2か月前に甲状腺機能亢進症と診断され、チアマゾール30mg/日を1か月前から内服している。身長155cm、体重45kg。体温40.2℃。脈拍92/分、整。血圧106/68mmHg。呼吸数40/分。SpO2 98%(room air)。両側の頸部に圧痛を伴う径1~2cmのリンパ節を数個触知する。咽頭の著しい発赤と腫脹を認める。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、網赤血球6%、白血球1,300(桿状核好中球0%、分葉核好中球0%、単球1%、リンパ球99%)、血小板21万。血液生化学所見:TSH 0.03μU/mL未満(基準0.2~4.0)、FT3 4.0pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 1.1ng/dL(基準0.8~2.2)。CRP 26mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。
抗菌薬の投与とともに行うべきなのはどれか。a 顆粒球輸血を行う。
b 赤血球輸血を行う。
c 昇圧薬を投与する。
d チアマゾールを中止する。
e 副腎皮質ステロイドを投与する。
NSAIDsによる心負荷増大
第106回医師国家試験 G50より引用
62歳の女性。数日前からの息切れと全身倦怠感とを主訴に来院した。心不全の治療のために専門外来に通っていたが、症状が安定したので3か月前に自宅近くの診療所を紹介された。同診療所を受診した際、新たに脂質異常症、変形性膝関節症および不眠症と診断され、それぞれに対し3週前から薬物療法が開始されたという。意識は清明。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧122/88mmHg。呼吸数16/分。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。頸静脈の怒張を認める。心尖部でIII音を聴取する。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を2cm触知する。脾を触知しない。両側の下腿に圧痕性浮腫を認める。
この病態の原因になった内服薬として最も考えられるのはどれか。a 利尿薬
b ベンゾジアゼピン系薬
c HMG-CoA還元酵素阻害薬
d アンジオテンシン変換酵素阻害薬
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs)
アドリアマイシンによる心毒性
第113回医師国家試験 F74より引用
70歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。
現病歴:4年前に縦隔腫瘍に対し摘出手術が施行され、病理検査で軟部肉腫と診断された。2年前に肺転移に対して2か月間アドリアマイシンが投与され、その後病変の増大はない。1か月前から倦怠感があり、数日前から労作時の息切れを自覚するようになった。ここ3か月で3kgの体重増加がある。
既往歴:45歳から高血圧症で内服加療。
生活歴:喫煙は20歳から33歳まで20本/日。飲酒は機会飲酒。
家族歴:母親は肺癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長172cm、体重63kg。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧164/78mmHg。呼吸数18/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒脹を認めない。胸骨正中切開の手術療痕を認める。III音を聴取し、心雑音を認めない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢末梢に冷感を認めない。両側下腿に浮腫を認める。
検査所見:血液所見:赤血球399万、Hb 11.6g/dL、Ht 38%、白血球4,000、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.6g/dL、AST 62U/L、ALT 81U/L、LD 251U/L(基準176~353)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖97mg/dL、 Na 142mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 108mEq/L、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉696pg/mL(基準18.4以下)、心筋トロポニンT 0.14(基準0.01以下)、CK-MB 5U/L(基準20以下)。CRP 0.3mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.4、PaCO2 38Torr、PaO2 83Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比は3か月前に53%、受診時58%。心電図で高電位とV5、V6の軽度ST低下を認める。1年前の心エコー検査は正常である。今回の来院時の心エコー検査で左室はびまん性に壁運動が低下しており、左室駆出率は35%。
症状の原因として最も考えられるのはどれか。
a 心外膜炎
b 急性心筋梗塞
c 拡張型心筋症
d 感染性心内膜炎
e 薬剤性心筋障害
Lドパ中断による悪性症候群
第105回医師国家試験 B56より引用
75歳の男性。不穏状態のため家族に伴われて来院した。
現病歴:3年前からParkinson病の診断で内服治療中であった。1週前から水様下痢と微熱とがあり、食欲がなく水分摂取も不十分であった。3日前から内服をすべて中断している。昨日から39℃台の発熱が出現し、身体が硬くなって起き上がることができなくなった。眼前に小さな虫がいると言い、振り払うような動作を繰り返し、徐々に不穏状態となってきた。
既往歴:5年前から脂質異常症で内服治療中。
生活歴:72歳の妻との2人暮らし。喫煙は20歳から20本/日を30年間。飲酒は週に1回、日本酒2合程度。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識レベルはJCS II-20。身長164cm、体重52kg。体温39.2℃。脈拍124/分、整。血圧86/60mmHg。口腔内は乾燥している。四肢に強い筋強剛があり、右上肢に静止時振戦を認める。腱反射は正常である。
検査所見:血液所見:赤血球508万、Hb 14.8g/dL、Ht 48%、白血球9,500、血小板22万。血液生化学所見:血糖86mg/dL、HbA1c 5.1%(基準4.3~5.8)、総蛋白7.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素56mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、尿酸8.9mg/dL、総コレステロール160mg/dL、トリグリセリド156mg/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST86U/L、ALT40U/L、LD 420U/L(基準176~353)、ALP 180U/L(基準115~359)、CK 820U/L(基準60~196)、Na 147mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 9.2mg/dL。CRP 1.2mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。
この患者の病態の誘因として考えにくいのはどれか。a 脱水
b 感染症
c 低栄養状態
d 抗Parkinson病薬の中断
e HMG-CoA還元酵素阻害薬の内服
抗結核薬による末梢神経障害
第100回医師国家試験 H8より引用
46歳の男性。1か月前から両足がジンジンしびれ、感覚が次第に鈍くなったため来院した。肺結核の治療で3か月前からリファンピシン、イソニアジド及びエタンブトールを内服している。診察で四肢に深部腱反射の消失と両側下肢に靴下状の全感覚低下とを認める。
この患者で欠乏しているのはどれか。a ビタミンA
b ビタミンB1
c ビタミンB6
d ビタミンC
e ビタミンE
抗精神病薬による副作用
総合感冒薬による尿閉
第109回医師国家試験 D57より引用
74歳の男性。下腹部痛を主訴に来院した。半年前から尿線が細くなり、頻尿と残尿感とを自覚したため自宅近くの医療機関で内服治療を受けていた。明け方から尿意はあるが排尿できず下腹部痛も伴ってきたため受診した。高血圧症と脂質異常症とで内服治療中である。2日前から感冒様症状を自覚し市販の総合感冒薬を服用している。身長164cm、体重58kg。体温36.8℃。脈拍88/分、整。血圧144/88mmHg。呼吸数16/分。下腹部に弾性軟の腫瘤を触知する。直腸指診で小鶏卵大で弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。導尿によって症状は改善した。
この患者の排尿状態の悪化に関連したと考えられるのはどれか。2つ選べ。a α1遮断薬
b 抗コリン薬
c 抗ヒスタミン薬
d HMG-CoA還元酵素阻害薬
e アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬
吸入ステロイドによる口腔カンジダ
医師国家試験 111I72より引用
57歳の女性。口腔内の白色病変を主訴に来院した。約2週間前から、のどの違和感を自覚していたがそのままにしていた。昨日、鏡で見ると口蓋垂の周辺が点状に白くなっていることに気付いた。ざらざらとする違和感はあるが咽頭痛や発熱はない。約2年前から気管支喘息のため気管支拡張薬と副腎皮質ステロイド吸入薬を使用している。身長157cm、体重63kg。尿所見と血液所見とに異常を認めない。白色病変を綿棒でこすると剥離可能である。口腔、咽頭の写真を別に示す。
最も考えられるのはどれか。
a 白板症
b 扁平苔癬
c 単純へルぺス
d 口腔カンジダ症
e アフタ性口内炎
以上いろいろ書きましたが、一度試してみるのもいいかもしれません。少しでも参考になれば幸いです。
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