新型コロナウイルスが猛威をふるっているなか、エタノールによる手指消毒の重要性はさらに増しています。
アルコール消毒が効くとはどういうことか
ウイルスにはエンベロープという脂質からなる構造をもつものがあります。
そのエンベロープに、感染を成立させるのに必要なタンパクが埋め込まれています。
よって、アルコールによって脂質であるエンベロープが溶かされると、感染に必要なタンパクが失われ、細胞へ感染できなくなります。=消毒が有効ということです。
エンベロープをもたないウイルスの覚え方
エンベロープを持たないウイルスでは、上記のメカニズムが作動しないため、アルコール消毒に耐性を持ちます。そういったウイルスには次亜塩素酸ナトリウムなどの高水準消毒薬を使わなければなりません。
そのためエンベロープをもたないウイルスを知っておくことは重要です。
経口感染するもの
と考えるとわかりやすいです。
経口感染するウイルスはエンベロープを持たないものが多い
肝臓から作られ胆嚢で貯蔵され分泌される胆汁には、胆汁酸が含まれています。胆汁酸には界面活性剤と同じ作用があり、そのため脂質をミセル化して吸収しやすくします。
界面活性作用があるため、アルコール同様にエンベロープを溶かします。
胆汁酸を浴びてもなお消化器症状を引き起こすウイルスはエンベロープを持っていない割合が高いということがわかります。
経口感染するウイルス
・ポリオ→2012年までは経口のワクチンが使われていた
・コクサッキー→手足口病、ヘルパンギーナ
・パルボB19→伝染性紅斑
・ヒトパピローマ→中咽頭癌、乳頭咽頭腫
・ノロ→感染性腸炎
・ロタ→乳幼児下痢症
・A、E型肝炎ウイルス→急性肝炎
国家試験問題で理解度をチェック!
医師国家試験 112C1より引用
アルコールによる手指衛生の効果が高いのはどれか。
a 破傷風菌
b ノロウイルス
c ロタウイルス
d ボツリヌス菌
e インフルエンザウイルス
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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