抗精神病薬の副作用まとめ(ジストニア・ジスキネジア・アカシジアの違い)

作用機序

抗精神病薬の副作用にはジストニアやジスキネジア、アカシジアにパーキンソニズムなどがありますが、名前が似ていてごっちゃになることがありませんか?

私もよくごっちゃになっていました。

一度要点を理解してしまえば間違えなくなるのでここでまとめてしまいましょう。

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まずドパミン経路をおさらい!

抗精神病薬の副作用を理解するためには、その土台としてドパミンの経路をおさえておくと非常にわかりやすいです。

ドパミン経路には4つの経路があります。

「統合失調症ナビ」ヤンセンファーマ株式会社 より引用

これらをさらにおおまかに分けると、

1〜3の中脳から出る経路

4の視床下部から出る経路に大別できます。

これらを疾患と結びつけておきましょう。

<統合失調症>

①の中脳皮質系でドパミンがブロックされると陰性症状(意欲や感情表現が低下)が出現します。大脳皮質は意欲や高次機能に関与しているので覚えやすいですね。

②の中脳辺縁系でドパミンが過剰になると陽性症状(幻覚や妄想)が出現します。

<パーキンソン病>

黒質線条体系でドパミンが分泌低下もしくはブロックされると錐体外路症状が出現します。

ちなみに黒質とは中脳にあるドパミンを産生する神経細胞です。

<高プロラクチン血症>

漏斗下垂体系でドパミンがブロックされると高プロラクチン血症が出現します。

 

副作用を分類してみた

理解しやすくするためにも、まずはおおまかにグルーピングしてみました。

  • 動きすぎ(ジスキネジア・ジストニア・アカシジア)
  • 動きにくすぎ(パーキンソニズム)
  • 各受容体がブロックされる(悪性症候群・H1・α・M・高血糖・SIADH)

 

ジスキネジア・ジストニア・アカシジア

ジスキネジア:dys(異常)+kinesia(運動)
→口をもぐもぐさせたり舌を出したり引っ込めたりする。動いてるイメージ・パーキンソン病をドパミン補充療法で治療してる際に血中濃度が高すぎたり変動が大きすぎたりするときに出現します。
※遅発性ジスキネジアは長期投与で生じる不可逆・難治性のジスキネジア。長期の抗精神病薬(D2遮断)によってドパミンの感受性が亢進することで生じます。

 

ジストニア:dys(異常)+tonia(緊張)
→首や眼の筋肉が収縮しすぎて首が傾いたり目が上を向いてしまう。ガチガチのイメージ

 

アカシジア:a(否定)+kathisia(座る)
→じっと座っていられない、絶えず歩き回る。(アカシア)明石家さんまさんのイメージ

 

パーキンソニズム

パーキンソニズムとはパーキンソン症状のことを指します。ちなみにパーキンソン病以外(多系統萎縮症・進行性核上性麻痺など)でも見られます。

パーキンソン病で見られるような振戦、筋固縮、無動などがこれにあたります。

各受容体がブロックされることによる副作用

ドパミンD2→悪性症候群・ADH分泌過剰症

ヒスタミンH1→眠気・食欲亢進・消費カロリー低下

アドレナリンα→起立性低血圧

ムスカリンM→口渇・便秘・緑内障

多受容体ブロック(〜ピン)→高血糖

理解度をチェック!薬剤師国家試験

第102回薬剤師国家試験 問252より引用

20歳女性。統合失調症と診断され、3ヶ月間、薬物治療が継続されていた。副作用は特にみられなかったが症状が改善されないため、主治医はクロルプロマジン塩酸塩錠を1300mgから450mgへ増量した。

(処方)
クロルプロマジン塩酸塩錠100mg 11錠(13錠)
クロルプロマジン塩酸塩錠50mg 11錠(13錠)

13回 朝昼夕食後 14日分

この患者において注意すべき副作用の早期発見のために、薬剤師が患者や家族にあらかじめ説明する症状として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 強い眠気
2 起床時の立ちくらみ
3 手の震えや体のこわばり
4 歯ぐきの腫れ
5 視野の狭窄や物の見えにくさ

正解・解説はこちら

正解は4です。

クロルプロマジンは、1950年に開発された歴史の古い抗精神病薬です。作用を整理してみましょう。

D2受容体ブロック+(H1・α1・M)受容体ブロック

D2ブロックとハムブロックと覚えましょう。

1.強い眠気         →H1ブロック
2.起床時の立ちくらみ    →α1ブロック
3.手の震えや体のこわばり  →D2ブロック
4.歯ぐきの腫れ       →正解。ジヒドロピリジン系の降圧薬で見られます。
5.視野の狭窄や物の見えにくさ→M1ブロック


第103回薬剤師国家試験 問294295より引用

26歳男性。統合失調症の診断を受け、ハロペリドールを処方されていた。

手の震え、体のこわばりやアカシジア(静座不能)などの副作用の出現により服薬を自己中断するため、入退院を繰り返している。

3ヶ月前から以下の処方に変更となった。

(処方)

オランザピン錠10mg 11(11) 11回 就寝前 7日分

3ヶ月前の検査データ:体重 68kg、空腹時血糖 110mg/dLLDLC(低密度リポタンパク質コレステロール) 130mg/dLHDLC(高密度リポタンパク質コレステロール) 47mg/dLTG(トリグリセリド) 120mg/dL

現在、患者の精神状態は安定しているが、食欲が亢進し、栄養指導しても過食になることが多い。

現在の検査データ:体重 76kg、空腹時血糖 110mg/dLLDLC 138mg/dLHDLC 42mg/dLTG 150mg/dL

服薬指導の際に、患者から「体重増加は困るので、薬を変えて欲しい」との訴えがあった。

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この患者の病態及び治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1.オランザピンの服用により糖尿病を発症している。

2.錐体外路症状は、漏斗下垂体のドパミン神経の過剰興奮によって起こる。

3.オランザピンはハロペリドールよりも錐体外路症状を起こしにくい。

4.オランザピンによる悪性症候群の発症はない。

5.体重増加はオランザピンに特徴的な副作用であり、他の抗精神病薬では認めない。

正解・解説はこちら

解答は3。

1:体重は増加しているものの、空腹時血糖は診断基準126未満なので糖尿病を発症していません。ましてや診断がつくためには2回とも高血糖でなくてはダメなので二重の意味で×。

2:漏斗下垂体のドパミン遮断で起こるのが高プロラクチン血症。しかもドパミン

が過剰になって起こるのは中脳辺縁系の陽性症状。

3:正解。第2世代(非定型)抗精神病薬は5-HT2受容体の遮断作用も持ちます。そのためセロトニンによるドパミン神経の抑制が解除され黒質線条体系のドパミンが減少しにくく錐体外路症状をきたしにくいです。

4:D2受容体遮断作用を持つ抗精神病薬には悪性症候群のリスクがあります。

5:非定型抗精神病薬は定型に比べて体重増加の副作用が多いです。クロザピンから誘導されて作られたオランザピン、クエチアピンも体重増加をきたしやすい薬剤です。


第101回医師国家試験 B99より引用

抗精神病薬の副作用でよくみられるのはどれか。

a 歯肉の肥厚
b 乳汁分泌
c 小脳失調
d 多毛
e 下痢

正解・解説はこちら
正解はbです。

抗精神病薬=ドパミン受容体遮断と考えていいので、漏斗系のドパミンを遮断してしまい抑制が外れてプロラクチンが上昇し乳汁分泌が起きます。

こういう薬関係の問題が医師国家試験にも出題されるのですが、こういった問題は自分にとってオアシスのような感じです。


いかかでしたか?少しでもお力になれれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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