ムコダイン、ムコソルバン、ビソルボン、ムコフィリン(去痰薬)の作用機序と使い分け

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小児科や耳鼻科では毎日のように去痰薬が処方されます。

日常的によく調剤しているムコダインやムコソルバン、ビソルボン。それらの違いはどこにあるのかまとめてみました。

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痰とは?

まず、痰についておさらいです。

痰は主に気管支の杯細胞から分泌されるもので、主な成分としてはムチンという糖タンパクが挙げられます。

ムチンはシアル酸とフコースが含まれています。

フコースは糖なので、増えるとネバネバしてきます。

細菌やウイルス感染の際に侵入を阻む目的でフコースの割合が増えて粘度が上がります。

痰の排出

ダスモック 小林製薬ホームページより引用

痰は、気管支の線毛運動により排出されていきます。肺胞サーファクタントは滑りを良くすることで間接的に線毛の働きを助けています(上の図の気道液にあたります)。

構造式と作用機序

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N-アセチルシステイン(ムコフィリン®)

システインのアミノ基がアセチル化された構造を持ちます。

SH基を持つため、ムチンのジスルフィド結合(-S-S-)を切断して痰の粘度を下げてサラサラにします。

基本的に単独では使用せず、気道拡張のメプチンと併用して吸入することが多いです。

ちなみに、アセトアミノフェン中毒の解毒剤の成分でもあり、経口製剤もあるものの、味はまずいです。

 

カルボシステイン(ムコダイン®)

システインの硫黄元素に-COOH(カルボキシ基)が結合しているために、SH(チオール基)がなくジスルフィド結合切断能はありません。

杯細胞の過形成を抑制して分泌を正常化します。=分泌↓

シアル酸とフコースの割合を正常化、つまりフコースの割合を下げてサラサラに近づけます。

 

アンブロキソール(ムコソルバン®)

構造に臭素(ブロモ)が入っています。

肺表面活性物質(肺サーファクタント)分泌の促進⇒サラサラにします。

線毛運動亢進作用と、軽いムチン分解作用を持ちます。

 

ブロムヘキシン(ビソルボン®)

こちらも構造に臭素(ブロモ)を含みます。

アンブロキソールの作用に加え、酸性糖蛋白の線維を溶解します
肺サーファクタント分泌の促進と線毛運動亢進作用を持ちます。

ちなみに、ポケモンでもブロムへキシンが出てきますよね?あれは防御力を上げる薬剤でしたが、実際、線毛運動を上げているので感染症に対する防御力は上がっているのかもしれません笑

各薬剤の使い分け

喀痰の量が多い⇒杯細胞の過形成抑制作用のあるムコダイン

急性期で痰のキレが悪い⇒糖蛋白の切断作用のあるムコフィリン

慢性的に痰のキレが悪い⇒肺サーファクタント分泌作用のあるビソルボン or ムコソルバン

 

インフルエンザとの関連

ムコタンパク=ムコ多糖(シアル酸やフコースなど)+タンパク

インフルエンザウイルスはウイルス表面のヘマグルチニンを用いて、ヒト気道上皮細胞表面のシアル酸へ結合して感染します。

カルボシステイン(ムコダイン®)はシアル酸とフコースの割合を正常な状態へ是正することで作用を発揮する去痰薬ですが、喘息やCOPD患者においてインフルエンザ罹患率を下げるというデータがありました。

その背景にはウイルスレセプターであるシアル酸を減少させることが関与しているかもしれません。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20543005

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倉原 優(2014) 呼吸器の薬の考え方、使い方 中外医学社 

読みやすい文体で、かつ重要な項目をまとめているのでそのまま頭の整理もできます。

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