アドレナリン反転とは そのメカニズム(原理)、対処

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作用機序

アドレナリン反転とは、α1遮断薬を使った後にアドレナリンを投与すると血圧が低下する現象です。

文章だけの説明を見てもイメージしにくいですよね。
ひとつずつ確認していきましょう。

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アドレナリンの作用機序

アドレナリンはα作用とβ作用をほぼ同等にもつカテコラミンです。

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エピペン注射液0.15mg 添付文書より引用

カテコラミンとは、ベンゼン環にOH基が2つ結合した構造(これをカテコール骨格)をもつアミン。
カテコールのアミン→カテコラミン

生理学の復習です。

生理学
α1受容体を刺激→血管平滑筋収縮=血圧上昇
β1受容体を刺激→心拍数上昇、心収縮力増強
β2受容体を刺激→血管平滑筋弛緩=血圧低下

作用の中で、血圧上昇と低下の両方があって矛盾してるように思えますが、ほとんどの血管平滑筋ではα1受容体のほうがβ2受容体よりも多く発現しているため、β2受容体の作用を上回って血圧上昇となります。

つまり、アドレナリンは1895年に発見されてから現在まで昇圧剤として使われてきたのです。

アドレナリン反転のメカニズム

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NEW薬理学 6版より引用

アドレナリン単独ではα1作用>β2作用のため昇圧します。

しかし、α遮断作用をもつフェントラミン投与後にアドレナリンを投与するとα作用がブロックされてβ2作用が優位となり昇圧剤のアドレナリンを投与したのに血圧が低下しています。

 

アドレナリン反転の意義

この現象はとても大事です。

例えば当直してる際にこんな症例が来たら?

症例
80代男性。認知症・前立腺肥大症を合併していて、誤ってα1遮断薬のタムスロシンを過量服用してしまい低血圧、転倒して搬送。

低血圧だからとりあえず血圧あげたいですよね?それでアドレナリンを投与すると、α1刺激作用が遮断されてβ2刺激作用が優位に働き(アドレナリン反転)、さらに血圧が低下してショック状態に陥ってしまいます。

そのため、β2作用が弱い昇圧剤で改善を図っていくことが望ましいです。
・α1作用>>β2作用のノルアドレナリン
・α1選択的刺激のフェニレフリン

ノルアドレナリンとアドレナリンの違いは医師・薬剤師国家試験に出題されるほど重要なのでしっかり確認しておきましょう。

これまでの経験から先輩の医師達が危ないと感じたことを伝えてきてくれているのが「アドレナリン反転」だと思います。しっかり教訓を学ばせていただきましょう。


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば嬉しいです。

コメント

  1. スプリング より:

    恐れ入ります、薬理で落ちて、某医大2年を2回目落第し、聴講生になってしまいました。
    勉強の理解を高めようと、こちらにたどり着きました、総論は、記述が鬼門になっているのですが、なかなかできずに困っています。たびたび来させていただきます。

    今取り組んでいるのは、構造活性相関。耐性に関係する過感受性。脱感受性。仕組みだけなら、教科書でなんとなくわかるのですが、記述は、広い面積を埋めなければなりません。そのような専門的視点が登場した背景や意味、意義となると、それは具体的な臨床例となるので、なかなか記述できず難儀しています。

    • pharmadoctor より:

      コメントありがとうございます。

      薬理の記述で苦労されているのだとお察しします。

      答えは質問者さんのコメントにある通り、「なんとなく」の理解にとどまっているために記述できていないということではないでしょうか?

      まずは何も見ずに自分の言葉で自分に説明してみてください。わかっていないところは説明出来ないと思います。
      わかっていないところが判明したなら薬理の先生のところへ行き、聞いてみるといいと思います!

      頑張ってくださいね。

      • スプリング より:

        ご丁寧にありがとうございます。
        恐れ入ります。

        また参考なることを
        探しに、やって来たいと思います。

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