循環器は論理的にカチっと繋がってくるので勉強していて面白いです。今回は薬の観点から捉えると狭心症の理解が楽だった事例を紹介します。
ジルチアゼム(ヘルベッサー®)の特徴
カルシウム拮抗薬は、ジヒドロピリジン系と、非ジヒドロピリジン系に大別されるのでした。
復習になりますが、
ジヒドロピリジン系は血管選択性
非ジヒドロピリジン系は心臓選択性
ジルチアゼムは非ジヒドロピリジン系ですが、心臓だけでなく、血管にも作用しますので、ジヒドロピリジンと非ジヒドロピリジンの中間に位置する薬剤です。
ジルチアゼムは心筋には作用しないために収縮力低下作用は無く、洞房結節へ作用して心拍数を下げる作用があることに加え、冠血管を拡張させる作用があります。
狭心症の分類
狭心症は経過や発症機序などで分類することができます。今回は安静時に発作が起きるものと、労作時に発作が起きるものに分けてみます。
安静時
冠攣縮性狭心症
(冠動脈が一過性に痙攣を起こして収縮)
病態としては主に血管が収縮することが原因となっているため、血管を広げる作用のあるカルシウム拮抗薬、特にジルチアゼム(ヘルベッサー®)、ニフェジピンが用いられます。
労作時
労作性狭心症
(動脈硬化で狭窄し、酸素消費量が供給量を上回る)
病態は酸素消費量が上回って相対的に心筋の酸素不足が起きているため、消費を抑えるためにβ遮断薬が用いられます。
ジルチアゼムはβ遮断薬と同様に心拍数を下げる作用もあることから、こちらでも用いられます。
まとめ
安静時狭心症→Ca拮抗薬
労作時狭心症→β遮断薬
いずれも血管が狭窄してるので、硝酸系とジルチアゼムは両方に効く。
病態を考えて、薬理学的にそれを改善する薬を選べばいいだけなので理解しやすいですね。
ということは、裏を返せば、処方箋を見て、これらの薬が投与されていれば疾患名が予想できるということです。
病院薬剤師なら電カルを見ればすぐ確認できますし、薬局薬剤師なら患者さんに症状が出る時間帯や状況を聞いてみれば確認できるかと思います。
プラスアルファとして、糖尿病を合併していたらこんなことも考えて見るといいかもしれません。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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