外用のステロイドの強さはよく表になっていますが、覚えるのは大変ですよね。臨床現場で働き出せば毎日処方があるので嫌でも覚えていくのですが、学生のうちに覚えておくのは難しいと思います。覚えやすくする方法を紹介します。
ひとつずつ見ていきましょう
外用ステロイドの強さ
外用のステロイドの強さは、塗布した際の血管収縮の度合いや、リンデロンVを基準として分類されています。
主に皮膚への浸透しやすさで分類されています。
以下はアトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版を参考に作成しました。
Ⅰ群 Strongest(最も強力)
プロピオン酸クロベタゾール(デルモベート ®)
酢酸ジフロラゾン(ジフラール ®、ダイアコート ®)
Ⅱ群 Very strong(非常に強い)
フランカルボン酸モメタゾン(フルメタ ®)
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(アンテベート ®)
ジプロピオン酸ベタメタゾン(リンデロン DP®)
ジフルプレドナート(マイザー ®)
吉草酸ジフルコルトロン(テクスメテン ®、ネリゾナ)
フルオシノニド(トプシム ®)
アムシノニド(ビスダーム ®)
Ⅲ群 Strong(強い)
プロピオン酸デキサメタゾン(メサデルム ®)
吉草酸デキサメタゾン(ボアラ ®,ザルックス ®)
吉草酸ベタメタゾン(ベトネベート ®,リンデロン V®)
プロピオン酸デプロドン(エクラー ®)
フルオシノロンアセトニド(フルコート ®)
ハルシノニド(アドコルチン ®)
Ⅳ群 mild(中等度)
吉草酸酢酸プレドニゾロン(リドメックス ®)
トリアムシノロンアセトニド(レダコート ®)
プロピオン酸アルクロメタゾン(アルメタ ®)
酪酸クロベタゾン(キンダベート ®)
酪酸ヒドロコルチゾン(ロコイド ®)
デキサメタゾン(グリメサゾン ®,オイラゾン ®)
Ⅴ群 weak(弱い)
プレドニゾロン(プレドニゾロン ®)
青文字はアンテドラッグです。
アンテドラッグ:皮膚だけで効くように構造を変えたものです。全身性の副作用が出にくいように設計してあります。
ステロイドランクと塗布部位
主に皮膚への浸透しやすさでステロイドは分類されていますが、一方で、人体には皮膚の厚い部位と薄い部位があるため、ステロイドの強さと皮膚の厚さを組み合わせて考慮する必要があります。
手のひら、足の裏は皮膚が厚く吸収性が低い→Ⅰ群・Ⅱ群
体幹部分は上の2つの中間→Ⅲ群
首、顔、わき、陰部は皮膚が薄く吸収性が高い→Ⅳ群・Ⅴ群
ステロイドランクの覚え方
Ⅰ、Ⅲ、Ⅴ群を覚えてそれ以外はⅡ、Ⅳ群と判断できれば効率がいいと思います。
Ⅰ、Ⅴ群は数が少ないので大丈夫として、Ⅲ群を頑張って覚えましょう。
<Ⅲ群の覚え方>
ステロイドランクを分類する際の基準にされているのがリンデロンV(吉草酸ベタメタゾン)です。それがⅢ群にあるのはわかりやすいですね。
元はⅣ群のデキサメタゾンの効果を強めるために、吉草酸やプロピオン酸などで修飾されたデキサメタゾンもⅢ群です。
他の薬は覚えにくいので苦しいですがゴロを作ってみました。
「古い春は二度やってくる」
フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド
これでⅠ、Ⅲ、Ⅴ群はいけますね。知らない薬はⅡ群かⅣ群のどちらかですが最後にもうひと押し。
<Ⅱ群とⅣ群の判別法>
・ジフロラゾン以外に「ジ」が付くのはⅡ(モノ、ジ、トリ)群。かつⅢ群以外の「シノニド」もⅡ群。
・内服薬と同様、デキサメタゾンやプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンは弱いステロイド
練習問題!
筆者が受験した懐かしの99回。全く覚えていませんが笑。
第99回薬剤師国家試験 問344 より引用医療安全確保のため、病院での採用医薬品品目数を増やさない努力をすることが奨励されている。今回、薬事委員会でジフルコルトロン吉草酸エステルクリーム0.1%を採用することになり、同種同効の医薬品を採用品目から削除することとなった。削除対象として適当な薬剤はどれか。1つ選べ。1 ジフェンヒドラミンラウリル硫酸塩軟膏4%2 プレドニゾロンファルネシル酸エステルゲル1.4%3 クロタミトンクリーム10%4 クロトリマゾールクリーム1 %5 フルオシノニドクリーム0.05%
以上になります。
いかがでしたでしょうか。少しでもお役に立てたなら幸いです。
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