あらゆる領域のがんの治療に用いられる分子標的薬。名前が特殊で覚えにくいと思ったことはありませんか?
その命名法がを記事にまとめてみました。
分子標的薬の分類
がん細胞が増殖する過程に関与している分子(タンパク質)を狙い撃ちする分子標的薬ですが、主に2種類に大別されます。
1つはチロシンキナーゼを阻害する小分子薬。
もう1つは分子量の大きい抗体製剤です。
なぜ分子量で分類するのか?
剤型と半減期・作用機序が異なるためです。
抗体は免疫グロブリンとも言いますが、分子量は15万ほどの巨大分子のため錠剤などに固形化しにくいので注射製剤です。
また、抗体製剤には半減期がおよそ20日と長いIgGを用いているため投与間隔が連日ではなく1〜3週間に1度です。
一方、チロシンキナーゼなどの酵素を阻害する小分子の薬剤は、分子量が小さいため細胞膜を通過しやすく、半減期も短いため連日投与が必要ですが、固形化しやすいために錠剤やカプセルなど経口投与が可能です。
語尾で判断!
抗体製剤→マブ 〜mab モノクローナル抗体 (monoclonal antibody)
小分子薬→ニブ 〜nib リン酸化酵素の阻害薬(kinaseのinhibitor)
チロシンキナーゼ阻害薬→チニブ tyrosine kinase inhibitors
抗体製剤の命名法
語尾は上述のとおり、モノクローナル抗体を意味します。
そのひとつ前は抗体を作る際の由来する動物をさします。
ヒト化抗体:ほとんどヒトなら(zoo+human)ズ→例:ベバシズマブ
ヒト抗体 :完全にヒトなら(human)ウ→例:ニボルマブ(nivolumab)
ヒト抗体に近いほどインフュージョンリアクションは起こりにくいです。
さらにその前は抗体の標的となる物質をさします。
免疫関連はli(m)immunoのリ→例:インフリキシマブ、イピリムマブ
薬剤師国家試験の過去問で理解度チェック!
第101回薬剤師国家試験 問297 より引用
82歳女性。関節リウマチと診断され、現在は以下の処方が出されている。
(処方1)
メトトレキサートカプセル2 mg 1回1カプセル(1日2カプセル)
毎週月曜日 1日2回 朝夕食後 4日分(投与実日数)(処方2)
メトトレキサートカプセル2 mg 1回1カプセル(1日1カプセル)
毎週火曜日 1日1回 朝食後 4日分(投与実日数)この患者において関節リウマチの症状が悪化したため、生物学的製剤の追加を考慮することとなった。メトトレキサートとの併用が前提で投与されるのはどれか。1つ選べ。
1 テムシロリムス
2 リツキシマブ
3 トシリズマブ
4 アバタセプト
5 インフリキシマブ
メトトレキサートと併用する必要があるということは、抗体にヒト以外のタンパクが使われているためにその薬剤に対する抗体が作られて作用が減弱するのを防ぐということです。
ヒト以外のタンパクの割合が多いのはキメラ型抗体「〜キシマブ」でしたね。
なので正解は5
↑WHOが定めている、薬の国際一般名称のサイトです。どんなステムが使われているのかぜひ参考にしてみてください。
以上となります。少しでもお力になれれば嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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