エンタイビオ ®(ベドリズマブ)の作用機序

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作用機序

2018年7月に武田の潰瘍性大腸炎治療薬のエンタイビオ ®(ベドリズマブ)の承認が下りました。

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤です。

中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法 (既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能・効果とする新しい作用機序の薬剤です。

欧州やアメリカでは2014年に既に承認されています。

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ベドリズマブの命名

ベド-リ(免疫系)-ズ(ヒト化)-マブ(モノクローナル抗体)

名前からおおよその作用機序が推測できます。

「リ」はlim(リンパ球)の意味。
「ズ」はヒト化
「マブ」はモノクローナル抗体

作用機序

インテグリンの復習をすると病態と繋がって理解しやすいと思います。

インテグリンって何だったっけ?

イラストレイテッド免疫学 原書2版(リッピンコットシリーズ) より引用

インテグリンとは、ほとんどの白血球の表面に発現していて、白血球が接着・遊走する際に活躍する細胞接着因子です。

白血球表面のインテグリンは、血管内皮細胞に発現しているI-CAMなどと結合することで血管内皮と強く接着することができます。その後血管の外へ遊走していきます。

α4β7はメモリーTリンパ球に発現し、そのリガンドであるMAdCAM-1は腸管の血管内皮に選択的に発現しています。

 

エンタイビオ ®(ベドリズマブ)はα4β7インテグリンに対する抗体で、α4β7インテグリンとMAdCAM-1との相互作用を阻害し、Tリンパ球が腸管の病変へ遊走するのを抑制し、炎症を軽減します。

臓器特異性が低いと、中枢神経系においても白血球の接着・遊走を阻害し、JC ウイルスによる進行性多巣性白質脳症の発症リスクが上昇することが知られているため、エンタイビオは選択的にα4β7インテグリンを阻害しています。

効能・効果

これまでの治療(ステロイドやアザチオプリンなど)で効果が得られない場合のみ

→中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法

用法・用量

1回300mgを点滴静注する。

初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で点滴静注する。

注意

リンパ球の遊走を阻害するため免疫力に影響を及ぼす可能性があります。

結核・サイトメガロウイルス・リステリアなどの感染症に罹患していると重症化する恐れがあるので感染の有無をチェックしましょう。

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