患者さんが授乳中とわかったら、処方されている薬が母乳に移行しやすいのか、授乳中に使ってもいいのかを調べる必要が出てきますよね。
バタバタと忙しい時ほど、すぐに、わかりやすく調べられることに価値があると思います。
時間があればゆっくり判断することはできるけれど…
しかし、業務中にゆっくり考えている暇はありません。
パッと調べられて、根拠も載っていて、一目でわかる方がいいですね。
すぐに調べられるツール!
「母乳とくすり ハンドブック2010」 大分県『母乳と薬剤』研究会 編
http://www.oitaog.jp/syoko/binyutokusuri.pdf
↑を開いて、「Control」キー+「F}キーを押して、調べたい薬剤名を入れればそのページに行きます。
発行年は少し古いですが、日常的に使用頻度の高い薬剤はほぼ網羅しているので問題ありませんでした。
表の見方
「母乳とくすり ハンドブック2010」 大分県『母乳と薬剤』研究会 編 より引用
表の見方について説明します。
薬剤の成分名、大分県『母乳と薬剤』研究会の評価、さらには各情報源での記載内容が書いてあります。
添付文書では「授乳中止」や「禁授乳」と記載されていますが、大分県『母乳と薬剤』研究会の評価では◎もしくは〇であることがわかります。
◎
多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤
母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさないと考えられる○
限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる薬剤
授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない△
乳児に有害作用を及ぼす可能性があり、授乳婦へ使用する場合は注意が必要
安全性を示す情報が見当たらず、より安全な薬剤の使用を考慮×
薬剤の影響がある間は授乳を中止する必要がある(授乳中止の期間はその薬剤の使用量や使用期間によって異なる)
授乳婦で研究されておらず、薬剤の性質上、リスクが解明されるまで回避すべき薬剤
添付文書だけの知識から脱却
製薬会社では、万全を期すために、動物実験であってもわずかでも母乳に移行が認められれば授乳に適さないと判断しているのでしょう。ですが、実際には治療に必要な薬もあるわけで、どれぐらい安全かを判断する能力が求められます。
「あ、添付文書に禁授乳って書いてある。疑義紹介しよう」では本当に苦しんでいる患者さんに必要な薬が使えなくなります。
ましてや専門でない診療科の医師の方々からすれば、薬の専門家である薬剤師が言ってるんだからそうなのだろうと、判断を迷わせてしまいます。
薬の適正使用の推進と、患者さんの健康に貢献するためにも、添付文書だけの知識から脱却していきましょう。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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