薬剤師国家試験の禁忌肢

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医療従事者に必須の知識
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第104回薬剤師国家試験からは医師国家試験にならい、禁忌肢が導入されました。医師国家試験は4問以下ですが、ハードルは2問以下と厳しいものになっています。

薬剤師は、医師の処方の禁忌を見つける仕事なので当然の流れなのかもしれません。

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実際に問題にチャレンジ!

第104回 薬剤師国家試験 問 216−217より引用 

78 歳女性。体重 45 kg。骨粗しょう症、うつ病及び不眠症のため下記の処方薬を服用していた。最近、食欲がなくなり、とても体がだるいとの訴えを聞いた家族が、この女性を通院中の病院に連れて来たところ、そのまま入院となった。

(処方)

アルファカルシドールカプセル 0.5 ng 1 回 1 カプセル( 1 日 1 カプセル)

1 日 1 回 夕食後 30 日分

パロキセチン錠 10 mg                      1 回 3 錠( 1 日 3 錠)

1 日 1 回 夕食後 30 日分

ゾピクロン錠 10 mg                         1 回 1 錠( 1 日 1 錠)

1 日 1 回 就寝前 30 日分

入院時の検査の結果、低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム高値、 高張尿が見られた。しかし、脱水症状は無く、腎機能及び副腎皮質機能が正常であり、上記以外の疾患はなかった。その結果、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)と診断された。診断した医師から薬剤師に薬学的管理について相談があった。

問 216(実務)

この患者の薬学的管理に関する提案として適切なのはどれか。2つ選べ。

1 アルファカルシドールカプセルの中止
2 パロキセチン錠の中止
3 ゾピクロン錠の中止
4 塩化ナトリウムの投与
5 積極的な水分摂取

正解・解説はこちら
正解は2と4です。

低ナトリウム血症を呈する、腎不全や副腎不全もしっかり除外され、SIADHと診断されています。

服用薬の中で中枢神経に作用するのはパロキセチンとゾピクロン。

SIADHを引き起こす薬剤は他にカルバマゼピンやビンクリスチンなどがあるので、そこから気分に作用する薬剤を類推してパロキセチン。

低ナトリウム血症を改善させるためにも塩化ナトリウムの投与。

水分摂取は低ナトリウム血症を悪化させるため禁忌となります。

 

実際に禁忌判定されていたかは公開されていないためわかりませんが、病態を悪化させるような治療は禁忌になり得ます。

SIADHって?

SIADH(secretion of inappropriate antidiuretic hormone)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群。

ざっくり言うと、抗利尿ホルモンADHの過剰分泌の病態です。

本来ADHは血漿浸透圧が上がった時に分泌されて、集合管でバソプレシン受容体V2に作用して水のみを再吸収します。それで血漿浸透圧が下がれば分泌が抑制される仕組みになっているのですが、以下の原因で抑制されません(だから不適合)。

下垂体後葉(髄膜炎や結核、薬剤)由来か、異所性(肺癌などが産生)由来

ADHが出過ぎるので尿から水分を抜いて血に入れるので尿は濃くなり、血は薄くなります。そのため低Na血症をきたし、悪心、食欲低下、傾眠、精神不穏、けいれんなどの症状を呈します。

以上となります。

最後まで読んでいただき有り難うございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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