C.difficile腸炎

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医療従事者に必須の知識

C.difficile腸炎

・入院患者の下痢の原因として最多

・抗菌薬(第3世代セファロスポリン系、キノロン系、クリンダマイシン)使用後に多い

・症状は下痢、発熱、腹痛、白血球上昇(特に白血球は白血病領域の3万まで上昇)→感染症で抗菌薬開始し、白血球も低下した後に3万近くまで上がれば疑う

CD毒素が特異度高く、CD抗原、CD毒素が共に陽性ならCD腸炎と診断する。CD抗原のみ陽性では臨床症状も合わせて治療検討。

・軽症〜中等:メトロニダゾール内服、重症:バンコマイシン内服、再発例:フィダキソマイシン内服

症例問題で確認

医師国家試験111H35

81歳の男性。前立腺炎で入院中に下痢を訴えている。

現病歴:10日前から、急性細菌性前立腺炎の診断でニューキノロン系抗菌薬の投与を受けている。治療開始後に症状は軽快したが、2日前から頻回の水様下痢と発熱が出現した。

既往歴:77歳時に肺癌のため肺切除術。81歳で再発し脊椎骨転移。

生活歴:喫煙歴と飲酒歴はない。普段は介助を要するが歩行可能であった。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長150cm、体重42kg。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧114/64mmHg。呼吸数20/分。SpO2 92%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音を聴取する。直腸指診で前立腺の腫大と圧痛とを認めず、褐色泥状便を認める。神経学的所見に異常を認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体1+、潜血(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球360万、Hb 10.0g/dL、Ht 34%、白血球21,000、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 17U/L、ALT 7U/L、LD 180U/L(基準176〜353)、ALP 243U/L(基準115〜359)、γ-GTP 48U/L(基準8〜50)、アミラーゼ146U/L(基準37〜160)、CK 30U/L(基準30〜140)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、血糖99mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 4.8mg/dL。

適切な対応はどれか。

便潜血検査
腹部CT検査
止痢薬の投与
抗菌薬の中止
広域スペクトル抗菌薬への変更
正解・解説はこちら
正解はdです。

キノロン開始後に水様便・発熱が出現し、白血球も2万台まで上昇あり。

CD腸炎を疑い、キノロンを中止してCD抗原とCDトキシンを提出。陽性であればメトロニダゾール1500mg/日の内服を開始したいところです。

以下は余談。

下痢では腸液(HCO3-を含む)を喪失し、代謝性アシドーシスになります(NaとClの差が36未満になっている)。

これを代償するべく呼吸数増加が起こっています。

参考文献

レジデントのための感染症診療マニュアル 第4版

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