経口糖尿病薬の作用機序と副作用・使い分け おすすめ専門書

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内分泌代謝の科目では糖尿病を扱いますが、経口糖尿病薬については種類が多く複雑になってきていることもあり1コマがまるまる講義にあてられていました。

種類の多さや複雑さに困っている方の助けになれれば幸いです。

ひとつずつ整理していきましょう!

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経口糖尿病薬を表にまとめてみました!

私が薬学生だった頃には比較的新しいDPP−4阻害薬、SGLT2阻害薬が続々と登場し始めてきた真っ最中でした。今は本当に治療の選択肢が多くなったと思います。だからこそポイントをおさえて理解していきましょう。

各薬剤の特徴をまとめてみました。画面の小さいスマホの型は右にスクロールすると端まで見れます。

作用機序副作用食後血糖のみ低下体重増加低血糖禁忌/慎重投与
ビグアナイド肝での糖新生抑制乳酸アシドーシス・胃腸障害→/心不全・腎不全・腸閉塞
チアゾリジン骨格筋・肝臓でのインスリン感受性改善浮腫心不全・腎不全
スルホニル尿素インスリン分泌促進低血糖腎不全・虚血性心疾患
グリニド速効型のインスリン分泌促進低血糖→/±腎不全
DPP-4阻害薬インスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制便秘腸閉塞
αーGI炭水化物の吸収遅延腹部膨満腸閉塞
SGLT2阻害薬近位尿細管でのブドウ糖再吸収抑制脱水・尿路感染腎不全(効果でない)

※特徴的な部分のみ抽出したため、正確性に欠ける場合があります!

「うわっ、多いなぁ」と思ったあなた。そう思うのはまだ早いです。

重要なのは赤字のところだけです。ここさえわかっていれば何も見ずに分類できます。

まず「食後血糖のみ低下」の列を見てください。

「+」になっているのはグリニドとαーGI(αグルコシダーゼ阻害薬)だけです。

それ以外の「ー」となっているものは空腹時血糖、食後血糖の両方を下げる作用があります。

次に「体重増加」の列を見てください。

「↑」ということは体重増加を来たしやすいので、肥満の患者には使いにくいということを意味しています。

「↓」は体重を減らす作用があるので肥満の患者に適しています。

そして「低血糖」の列を見てください。

「+」となっているのは直接インスリン分泌を促進するSUとグリニドだけです。DPP−4阻害薬は間接的。

最後に「禁忌/慎重投与」の列を見てください。

これは大体副作用から連想できます。

例外的に、直接インスリン分泌を促進するSUとグリニドは腎排泄が多いため腎不全では血中に滞留して作用が増強してしまうため禁忌です。

 

長々と解説したけれど、結局は…作用機序!!

以上のように解説してきましたが、これまでのことはたいてい作用機序をわかっていればすべて導けます。暗記する必要なんてありません。

 

ビグアナイド

・AMPキナーゼを活性化し、肝での糖新生を抑制→糖の材料である乳酸たまる→乳酸アシドーシス→乳酸たまるような疾患(細胞レベルでの酸素不足)→心不全に禁忌

食欲抑制作用もある→体重減少

消化管からのブドウ糖吸収抑制→浸透圧で下痢(本来の機序は不明

・腎排泄→腎不全に禁忌

・腎排泄→脱水(←腸閉塞)では排泄されにくい

チアゾリジン

骨格筋・肝臓でPPARγに結合し、インスリン感受性改善→腎臓のPPARγにも結合してNa再吸収を促進→浸透圧によって水が引き寄せられ浮腫=体重増加心不全・腎不全に禁忌

 

SU・グリニド

SUとグリニドは作用機序が同じなのでまとめます。

腎排泄腎不全に禁忌

・ATP依存性Kチャネルを遮断→インスリン分泌促進→インスリンにより血中から細胞へブドウ糖が取り込まれる=体重増加低血糖

ATP依存性Kチャネルを遮断する→心筋にも作用して虚血耐性を低下心筋梗塞の患者には慎重投与

 

DPP-4阻害薬

インクレチンを分解するDPP-4を阻害→インクレチンの半減期延長→インクレチンの作用である消化管運動低下腸閉塞に禁忌

αーGI

二糖類を単糖に分解するαグルコシダーゼを阻害して吸収を遅延→ブドウ糖が腸内細菌によって発酵ガス発生→腹部膨満→消化管運動低下→腸閉塞

SGLT2阻害薬

近位尿細管に多く発現し、ブドウ糖を再吸収するSGLT2を阻害→ブドウ糖が尿細管に多く捨てられる→尿の浸透圧上昇→浸透圧利尿=体重減少脱水

尿にブドウ糖が多く捨てられる=細菌の養分となり尿路感染リスク上昇

再吸収を阻害するだけなので、腎不全ではそもそもブドウ糖が排泄されないために効果を発揮できない

糖尿病の勉強にはコレがオススメ!

これは素晴らしい本です!!
薬についても分類ごとに作用機序・特徴・薬一覧(一般名→商品名記載あり)・エビデンス・副作用・使用上の注意がまとめてあります!これだけ完成された専門書なのに税込3888円とリーズナブル!これは買いだと思います。

非専門医の方・糖尿病を勉強しようとしている薬剤師にもオススメです。

 

 

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