低カリウム血症でなぜ血糖が高くなるのか?インスリン分泌促進薬やSU薬の作用機序の復習にも繋がってくるところなのでしっかりおさえましょう。
まずはインスリン分泌のメカニズムを復習!
レジデントノート増刊 Vol.19 No.11
「糖尿病薬・インスリン治療 知りたい、基本と使い分け」より引用
グルコースが膵β細胞にGLUT2を介して流入→解糖されクエン酸回路でATP産生→ATP感受性Kチャネルが閉鎖→K+が細胞外へ出られず、電位が上がり脱分極→電位依存性Caチャネル開く→Ca2+流入→インスリン分泌
低カリウム血症ではどうなるのか?
インスリン分泌低下
低カリウム血症では、細胞外=血管のカリウム濃度が下がっています。
そのため、ATP感受性KチャネルからK+が流出しやすく、膵β細胞の電位が上昇しにくくなります。
それにより脱分極できず、インスリン分泌が低下します。→インスリン作用低下によって高血糖となります。
インスリン作用低下
また一方、インスリンの作用によってグルコースが細胞内に入る際にはK+も一緒に細胞内へ入る必要があります。
低カリウム血症ではグルコースが細胞内に入れないため、血管内のグルコース濃度が高い=高血糖になります。
低カリウム血症の基準値のゴロ
この記事を見て、血清カリウム濃度の基準値何だったっけとなった人のために、薬剤師国家試験の時に使ったゴロを紹介します。
利尿薬が低カリウム血症を引き起こしやすい
通常は、生体のホメオスタシスによってK+濃度は上記の基準値範囲内にコントロールされています。
低カリウム血症の原因で多いものとして、利尿薬の服用があります。利尿薬の服用によってK+濃度が低下します。
カリウムチャネル遮断でも低血糖に!
薬剤師国家試験 第100回 問334より引用
65歳男性。体重 72kg。非弁膜症性心房細動との診断で下記の処方薬を服用していた。数日前から、めまい、ふらつき、冷汗、手の震え、軽度の意識障害にて昨日入院となった。
本日病室を訪問した薬剤師は、下記の処方薬を日頃欠かさず服用していたことを付添いの家族から聴取した。また、カルテから入院時検査結果が血 清クレアチニン値は2.0mg/dL、BUN は 39mg/dL、空腹時血糖は40mg/dLであることを確認した。
シベンゾリンコハク酸塩錠 100mg 1回1錠(1日3錠)
ベラパミル塩酸塩錠 40mg 1回1錠(1日3錠)
ニコランジル錠 5mg 1回1錠(1日3錠) 1日3回 朝昼夕食後
ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセル 110mg 1回1カプセル(1日2カプセル)
ニフェジピン徐放錠 10mg(12時間持続) 1回1錠(1日2錠) 1日2回 朝夕食後担当の薬剤師は、入院時の不快症状と検査値から薬の副作用を疑い、医師に薬剤の変更を提案しようと考えた。該当する薬剤はどれか。 1つ選べ。
1 シベンゾリンコハク酸塩錠
2 ベラパミル塩酸塩錠
3 ニコランジル錠
4 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩カプセル
5 ニフェジピン徐放錠
第100回の薬剤師国家試験にも低血糖の副作用が出題されていました。
第112回医師国家試験 C24より引用
高血圧と糖代謝異常をきたす疾患はどれか。3つ選べ。
a 肝硬変
b 先端巨大症
c Cushing症候群
d 偽性Bartter症候群
e 偽性アルドステロン症
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでもお力になれたら嬉しいです。
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