注射剤の配合変化

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作用機序
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使わない知識は残念ながら抜け落ちていきます。少しでも定着させようとあがいてみます。

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国家試験問題にチャレンジ!

第99回薬剤師国家試験 問196

病棟の看護師から、点滴静注しているラインの側管からジアゼパム注射液を注入したところ、ラインに残存する他の注射液と混ざり、白濁してしまったとの問い合わせが薬剤部にあった。

ジアゼパム注射液において、上記白濁が起こった理由として、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 亜硫酸塩を含む注射剤との混合により、加水分解を受けた。
  2. 希釈により溶解度が低下した。
  3. 酸性注射液との混合に伴うpHの低下により、溶解度が低下した。
  4. カルシウムやマグネシウム塩を含む注射剤との混合により、難溶性塩を生成した。
  5. 生理食塩液との混合により、塩析が起こった。

これ私が薬剤師国家試験を受けた年のやつでした。内容は全く覚えていませんでした。当時は楽勝だったのでしょうか。

答えは2です。

この問題をご紹介したかったのは、選択肢がメジャーな注射剤の配合変化の総まとめになっていたからです。

選択肢1は加水分解、2は溶解度、3はpH変化、4は難溶性の塩形成、5は塩析・凝析です。それぞれ解説していきます。

1.加水分解

ナファモスタットメシル酸塩(フサン®︎)
ガベキサートメシル酸塩(エフオーワイ®︎)
注射用カルペリチド(ハンプ®︎)

これらのエステルとなっている薬剤は亜硫酸塩によって加水分解を受けやすいです。輸液の添加剤である亜硫酸塩によって加水分解が促進されます。

亜硫酸塩は、ネオパレン®︎、ビーフリード®︎といった輸液に含まれます。

2.溶解度

ジアゼパム(ホリゾン®︎)
フェノバルビタール(フェノバール®︎)
フェニトイン(アレビアチン®︎)

これらの脂溶性が高い薬剤はプロピレングリコールなどによって溶解度を上げて製剤としています。そのため希釈されると溶けられなくなり析出します。

ジアゼパムとミダゾラムは痙攣を止めるために救急外来でよく用いる薬剤ですが、希釈するかしないかが異なります。

ミダゾラムは胃カメラや気管支鏡の際の鎮静に生食で希釈して用いられます。

3.pH変化

酸性と塩基性の薬剤を混ぜ合わせるとpHが変化し、溶けきれなくなり白濁したり沈殿したりします。

【酸性注射薬】
チアミン塩化物塩酸塩
ドパミン塩酸塩注射液(イノバン®︎)
ガベキサートメシル酸塩(エフオーワイ®︎)
ミノサイクリン(ミノマイシン®︎)
ブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボン®︎)
などがあります。

最後が大体「◯酸塩」になっているので覚えやすいと思います。

【塩基性注射薬】
注射用カンレノ酸カリウム(ソルダクトン®︎)
フェニトインナトリウム注射液(アレビアチン®︎)
フロセミド注射液(ラシックス®︎)
アミノフィリン(ネオフィリン®︎)
含糖酸化鉄(フェジン®︎)
アシクロビル(ゾビラックス®︎)
などがあります。

4.難溶性塩の形成

第3世代のセフェム系抗菌薬セフトリアキソン(ロセフィン®︎)は、カルシウムを含有する注射剤との含有で難溶性塩を形成するため、同時に投与しないよう注意が必要です。新生児や乳児の肺や腎臓に析出し、死亡した例も報告されています。

カルシウムを含む輸液としては例えば、ラクテック®︎があります。マグネシウムを含む輸液としては例えば、アステマリン 3号MG輸液®︎があります。

5.コロイドの塩析・凝析

例えば、注射用カルペリチド(ハンプ®︎)ナファモスタットメシル酸塩(フサン®︎)は、生理食塩水との混合で塩析が生じます。そのため、注射用水や5%ブドウ糖液で希釈されます。

一方で、含糖酸化鉄(フェジン®︎)はショ糖で水酸化第二鉄を疎水コロイドとした薬剤です。そのため生理食塩水で電解質を加えると凝析してしまいますので、電解質を含まない5%ブドウ糖液で希釈します。

ブドウ糖液で希釈(生理食塩水で希釈NG)
「ブドウ入りガアナカカオ」
・ガベキサート、含糖酸化鉄
・アムホテリシンB、アミオダロン、アスパラギナーゼ
・ナファモスタット
・カルペリチド
・オキサリプラチン

このゴロは意外と便利で、急性心不全の時のハンプや心停止時のアミオダロンを使う際にも役立ちました。

慣れてない看護師さんが生食で希釈しようとしていたらそっと教えてあげましょう。


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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