癌疼痛治療剤ヒドロモルフォン ナルラピド錠、ナルサス錠の作用機序

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作用機序

第一三共プロファーマ株式会社より、麻薬性鎮痛剤ヒドロモルフォン塩酸塩の徐放性製剤(ナルサス®)、即放性製剤(ナルラピド®)が販売されました。

ヒドロモルフォン製剤は、海外で80年以上使用されてきた麻薬性鎮痛剤ですが、日本では承認されていませんでした。

これで日本もようやく海外と同じようにオピオイド鎮痛薬のレパートリーが増えました。

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ヒドロモルフォンの作用機序

ヒドロモルフォンはμオピオイド受容体に高い親和性を示し、鎮痛作用を発揮します。

μ受容体を介して、大脳皮質知覚領域の痛覚閾値を上昇させたり、
脳幹の下行性疼痛抑制系の賦活や、視床及び脊髄後角を抑制するものと考えられています。

下行性疼痛抑制系について

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ノイロトロピン錠4単位 インタビューフォーム(第7版)より引用

モルヒネと同様の作用機序のため、呼吸抑制消化管運動低下嘔気傾眠の副作用があります。

オピオイドによる便秘には、こちらの薬が併用されるかもしれません。
オピオイド誘発性便秘症治療薬 スインプロイクの作用機序

薬物動態・相互作用の特徴

・食後投与でCmaxは1.3倍、AUCは1.3倍に増大します。

・主にグルクロン酸抱合によるヒドロモルフォン-3-グルクロニドへ代謝されるが、その代謝活性はもとの約1/2280と低い。

・単回経口投与から投与後48時間までの尿中に、投与量の約3%が未変化体として、投与量の約30%がグルクロン酸抱合体として排泄されています。
バイオアベイラビリティは24%であり、尿中未変化体排泄率は約12.5%。
以上より肝も腎も関与しているため、肝・腎機能障害患者は慎重投与となっています。

・相互作用はモルヒネの添付文書の記載とほぼ同じで、ランクは併用注意です。

ナルサス®とナルラピド®の違い

即放性か徐放性かで用途や服用方法が異なります。

ナルラピド®

名前の由来rapidのとおり即放性製剤。
服用後およそ15~30分で作用発現。そのためレスキューとして用います

レスキューとは:定期的にオピオイドを服用していても痛みが突然出現する場合や、次の内服予定時間より前に疼痛が出現した場合などに、臨時に追加服用するための頓服薬のことです。

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ナルラピド®錠1、2、4mg 添付文書(第2版)より引用

ナルサス®

名前の由来sustainのとおり徐放性製剤。
1日1回投与。服用1時間後ほどで作用が発現します。

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ナルサス®錠2、6、12、24mg 添付文書(第2版)より引用


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