とうとうニボルマブの副作用が一般問題ではなく、臨床問題で出題されました。
こういう科目を横断した出題は好きです。
どんな経過なのか?
薬剤師国家試験 105回 問304
70歳女性。糖尿病の既往歴はない。非小細胞肺がん(扁平上皮がん、PD-L1発現率15%)と診断され、ニボルマブ点滴静注240mg、2週間毎の投与が開始された。
経過良好だったが、6回目の投与後、自宅で強い倦怠感、食欲低下、口渇と多尿が出現し、水分摂取も困難であったため、緊急受診した。受診時、朝食をとらずに行った検査値は以下の通りである。
検査値:Na 135mEq/L、Cl 96mEq/L、K 5.4mEq/L、BUN 23mg/dL、HbA1c 6.0%(NGSP値)、血糖値 571mg/dL、血液pH 7.1、尿糖 4+、尿ケトン 3+
問304
この患者に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. Tリンパ球の機能が低下している。
2. 血中C-ペプチドが低値である。
3. 次回以降のニボルマブの投与を中止すべきである。
4. インフュージョンリアクションが起きている。
5. 2型糖尿病を発症している。
薬剤師国家試験 106回 問264
63 歳男性。体重 64 kg。左腎にがんを指摘され部分摘出術を受けた。その後、再発と骨転移、膵転移を認め、分子標的薬の投与が行われたものの再再発との評価を受け、先月よりニボルマブの単剤療法が開始された。
ニボルマブの投与 3 回を経過した時点で 1 日 6 回以上の下痢、強い腹痛、発熱 37.5 ℃以上、鮮血便を認めたため大腸内視鏡検査を実施したところ、消化管潰瘍の所見を認め潰瘍性大腸炎と診断された。
初期治療に用いる薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ペムブロリズマブ点滴静注
- アダリムマブ皮下注
- イピリムマブ点滴静注
- ロペラミド塩酸塩錠
- メチルプレドニゾロン錠
今回のように、ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬が原因の自己免疫疾患のような副作用のことを免疫関連有害事象と言います。
PD-1の結合を阻害して免疫細胞を活性化させるため、大腸炎や重症筋無力症、間質性肺炎、甲状腺機能亢進・低下症、下垂体機能低下症などの有害事象が起こります。
これらについては公式サイトの動画が端的でわかりやすいです。
免疫関連有害事象については、知らなければ急変に対応した医師は混乱します。今のうちに知識を入れておきましょう。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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