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薬理学の勉強法とオススメ教科書〜薬がみえるを用いて〜

2018年1月30日

一度薬剤師として働いた後、医学部で薬理学を学び直していると、その重要性を痛感します。

医学生や薬学生は、1〜2年次に基礎医学として生化学や生理学、解剖学、微生物学、病理学を学びます。

薬学生だった当時はイメージを持っていないために、何故これらの学問が重要なのか、その意義を理解しながら学ぶことができませんでした。

一方、臨床科目では各診療科の疾患を学びますが、その際に用いられる薬物治療において、何故特定の薬が用いられるのかについては原理を理解しなければただの暗記になってしまいます。ただの暗記では記憶の半減期が短く、実用性もありません。

薬理学の重要性って?

基礎医学の観点から

例えば、肺結核を基礎医学それぞれの観点から見てみましょう。

生化学・微生物学
結核菌がミコール酸という超高級脂肪酸を持つことがわかっているため、イソニアジドでその合成を阻害したり、チールニールゼン染色という診断に重要な検査が用いられています。

 

生理学・病理学・免疫学
結核菌はマクロファージに貪食されても生存するものがあり、封じ込めるために肉芽腫が形成されることがわかっています。そのため細胞内寄生菌にも効くピラジナミドが基本的に用いられます。

 

解剖学・微生物学
偏性好気性菌である結核菌は、酸素分圧が高い肺尖部で増殖しやすいことから、好気性菌に効きやすいストレプトマイシンが用いられます。

 

これらのように、薬理学は基礎医学と臨床医学を結びつける学問です。

実際、病態から治療法を考えるので疾患の勉強にもなります。

<薬理学を臨床で応用してみましょう>
経口糖尿病薬の作用機序と副作用・使い分け

 

勉強のコツ1 〜土台となる知識をいろいろリンクさせていく〜

例えば痛み止めのNSAIDs。

シクロオキシゲナーゼを阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制することで作用を発揮しますよね。

プロスタグランジンは痛みを増強させる作用があるのでしたね。なので産生を抑制すれば痛みが抑えられます。

  • PGE1子宮収縮作用動脈管開存作用
  • PGE2子宮収縮作用、末梢血管拡張作用、発熱・痛覚伝達作用

 

生理痛とリンク!

プロスタグランジンの他の作用として、子宮収縮作用があります。女性が生理痛で痛い原因に子宮の過剰な収縮があります。子宮を収縮させて経血を排出するためですね。

上記の通り、痛みを増強する作用もあるので、生理痛は辛いものです。なのでNSAIDsが良く効きます。

陣痛とリンク!

プロスタグランジンの子宮収縮作用を知れば、それを利用することもできそうですね。プロスタグランジンF2αは陣痛を誘発・促進させる作用があり、臨床で使われています。

逆に言えば、プロスタグランジンF2α以外のプロスタグランジン製剤でも子宮収縮作用があるので、妊婦に使用してしまうと陣痛を誘発して流産や早産のリスクとなってしまうことも想像しやすいのではないでしょうか。そのため妊婦には禁忌となります。

動脈管や消化性潰瘍・腎不全とリンク!

プロスタグランジンの血管拡張作用に着目してみましょう。

胎児は羊水の中にいるので肺は機能できませんね。なので血液が肺を流れるのは無駄というわけです。そこで、肺動脈と大動脈を繋ぐ動脈管という構造(動脈同士を繋ぐので動脈管)でショートカットします。

この動脈管は実はプロスタグランジンの血管拡張作用で開き続けています。プロスタグランジンが無くなると閉じてしまいます。そうすると無駄に肺に血を送らないといけないので心臓に負担がかかり心不全のリスクが上がってしまいます。

血管は胃粘膜や腎臓にもありますね。NSAIDsによってプロスタグランジンが減ると血管拡張作用がなくなり血管が狭くなりこれらの臓器の血流が減ります。そのため消化性潰瘍や腎不全となってしまうのです。

 

このように、解剖学や生理学ともリンクさせると、その科目の復習にもなるのはもちろん、判断に迷った時に解剖生理から逆に辿れるもでダブルチェックにもなります。

勉強のコツ2〜ゴロ合わせもしくは文字から連想!〜

COX2阻害薬には何があるのでしょうか?メロキシカム、エトドラク、セレコキシブ…

これをそのまま見ても覚えにくくないでしょうか?

だって初対面の相手の名前を覚えるのと同じですからね。まずはゴロ合わせやその薬剤名から連想してみましょう。

暗記ではなくゴロやイメージを使って理解をすると勉強が楽しくなり、辛くなくなると思います。

例:セレコキシブの「セレコ」はselective選択的の意味。

くだらないんですが、これで一度覚えてしまえば、あとは薬の名前を見るだけで作用機序や副作用が思い出せます。

勉強のコツ3〜繰り返す!〜暗記カード

人は忘れる生き物です。だからこそ何度も何度も繰り返しましょう

現場の薬剤師が薬剤名から作用機序をパッと想起できるのは毎日繰り返されているからです。

薬理学を勉強されている方のために、全範囲を網羅できていないのですが、現場でよく用いられたり、テストに出やすい薬の作用機序を暗記カードにしてみました。

隙間時間にちょこちょこ解くと記憶に定着していきますよ。

手順

①Quizletというアプリをダウンロード(無料!)

②検索の虫眼鏡マークをタップ

③「薬理学 勉強」と検索

④検索で出てきた中の1番上をタップ

⑤「テスト」を押して、「テストを開始」を押す

 

「Quizlet」アプリ画面より引用

やり方がわからなければお気軽にお問い合わせください。

これで少しでも薬理学に苦手意識を持たない医師やパラメディカルの方々が増えてくだされば幸いです。

 

薬理のお勧め参考書1 〜青本〜

最初からテキストで覚えていくのは面白くないし、やる気も続きませんよね。

そこで青本と呼ばれる、薬剤師国家試験対策本です。

まず問題を解いてみて、薬についてどんなことが問われているのか確認し、その後に重要ポイントがまとまっているテキストで効率的に学んでいきましょう。

問題集→わからなかったとこだけテキスト参照→問題集→ループ

問題集

テスト範囲のとこだけやってもOKです!

何がポイントなのか、どこを覚えればいいのか、自分の理解度はどうなのかを確認させてくれます。

何より薄いのでやる気が削がれません。小さくて持ち運べますし赤シートで隠せますので効率がいいです。そして安いです。

 

テキスト

めちゃくちゃポイントが凝縮されてます!

「薬がみえる」は3冊それぞれが分厚いのに対して、こちらは全分野が1冊にまとまっているのが最大のメリットで、持ち運べるしやる気も持続します。

まとまっているためにそれぞれの詳細な機序についてはわかりやすいイラストが少ないです。

これを補うためにも、電子版「薬がみえる」を併用しましょう。

 

薬理学のおすすめ参考書2 〜薬がみえる〜

図だけでなく解説も充実している、「薬がみえる」という素晴らしくわかりやすい参考書があります。

生化学や生理学、解剖学や病理学、微生物学を横断して、しかもそれぞれの分野から疾患に関係する重要なポイントを抽出してくれています。

こんなにわかりやすくリーズナブルな価格で提供しているものは見たことがありませんでした。この薬の商品名なんだったっけとなっても、掲載してくれているので調べる手間も省けます。

タンドスピロンの作用機序を成書にあたってもわかりにくかったためわざわざPubmedで論文を引いてまで調べたんですが、その内容もしっかり記載されてました。実にアカデミック!

薬学生や薬剤師の方にも、医学生、医療系学生にもおすすめできる良書です。

2018/4/15追記

メディックメディアのmediLinkというサイトから、アプリと書籍セットを買えます。

アプリ版では添付文書やインタビュフォーム、錠剤の画像へのリンクが貼られているため、利便性がめっちゃ高いです!働きだした時のことを考えるとマストバイ!

Amazonのサイトで、実際のページを確認できます。

一度見てみてください!百聞は一見に如かず!

ただイメージとしては資料集のような感じでレポート作成には不向きです。しかも1冊1冊が分厚く、現在3冊もあるので本で勉強しようとするとかさばってしまうことと、通読しにくいのが難点です。

なので電子版+青本がオススメ!

青本で問題を見て→解けない→その領域の「薬がみえる」を読む

 

これを繰り返していくと国家試験で出題される重要なポイントを全領域でおさえられます。

薬理学をマスターすれば何ができるのか

薬理学をマスターすると大抵の薬剤の作用機序が頭に入った状態になります。

高齢者では多剤併用が多くなりますが、薬理学の知識があれば、どの薬が問題を引き起こしているのか考えられるようになります。

第111回医師国家試験 D 問46 より引用

83歳の女性。全身の衰弱のため、心配した介護施設の職員に伴われて来院した。 2か月前から介助がないと立ち上がれなくなった。1か月前からさらに活気がなくなり、1週間前から食事量も減少してきた。脳梗塞後遺症の左不全片麻痺、高血圧症、脂質異常症、骨粗鬆症および便秘のため、アスピリン、カルシウム拮抗薬、スタチン<HMG-CoA 還元酵素阻害薬>、活性型ビタミンD、酸化マグネシウム及びプロトンポンプ阻害薬を内服している。

意識レベルは JCSⅠ-2。血圧 126/62 mmHg。尿所見:蛋白(ー)、潜血(ー)。血液所見:赤血球 302 万、Hb 9.7 g/dL、Ht 30 %、白血球 5,700、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白 6.3 g/dL、アルブミン 3.3 g/dL、AST 11 U/L、ALT 16 U/L、CK 97 U/L(基準 30〜140)、尿素窒素 28 mg/dL、クレアチニン 2.8 mg/dL、LDL コレステロール 120 mg/dL、Na 134 mEq/L、 K 4.5 mEq/L、Cl 100 mEq/L、Ca 12.5 mg/dL、P 3.1 mg/dL、Mg 2.5 mg/dL(基準 1.8〜2.5)。

この患者の衰弱の原因として最も考えられる薬剤はどれか。

a アスピリン
b 活性型ビタミンD
c カルシウム拮抗薬
d 酸化マグネシウム
e スタチン<HMG-CoA 還元酵素阻害薬>

回答はb。記事が長くなってしまったので別記事に。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。