デュピクセント®(デュピルマブ)の作用機序

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作用機序
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2018年に入り、ついにアトピー性皮膚炎にも抗体製剤の選択肢が増えました。その作用機序や、アトピー性皮膚炎、これまでの治療法についても概説していきます。

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アトピー性皮膚炎とは

日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016によると、その定義は「増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性疾患であり、患者の多くはアトピー素因を有している」となっています。

端的にまとめると、「長く続くかゆみのある湿疹」

アトピー素因とは

アトピーとは、医学的には「アレルゲンに強く反応する傾向」のことを意味しています。そのため、アトピー素因とは、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎の家族歴や既往歴があることと、IgE抗体を産生しやすいこととされています。

これらは花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンに反応していますよね。

 

従来の治療は?

・ステロイド外用

・保湿剤外用

・抗ヒスタミン薬内服

・タクロリムス(免疫抑制薬)外用

・シクロスポリン(免疫抑制薬)内服

・紫外線療法(PUVA)

・プロアクティブ療法

などが用いられていました。

しかし、これらの治療法では中等度〜重症のアトピー性皮膚炎患者の病態の進行やかゆみを抑えられずにいました。

デュピクセント®(デュピルマブ)の作用機序

デュピクセントの特性ーサノフィ より引用

アトピー性皮膚炎の病態にはIgE産生、つまりTh2が関与しています。主にTh2が産生するIL-4やIL-13は、保湿因子となるフィラグリンの発現を低下させたりヒスタミンや炎症性メディエーターを遊離させたりと病態が悪化する方向へ働きます。

そこでそのインターロイキンのシグナルをブロックするために、ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体、デュピルマブが創られました。

リンパ系に働くため「l」、ヒト型モノクローナル抗体なので「umab」=dupilumab

抗体製剤の命名法についてはコチラ
分子標的薬の命名法と覚え方

ちなみに、デュピクセントはIL-4αサブユニットに対する抗体ですが、IL-4αサブユニットはIL-4やIL-13のどちらの受容体の構成にも関与しているので、どちらのシグナル伝達も阻害できます。

有効性

ステロイド外用薬との併用において、中等症以上のアトピー性皮膚炎の症状を改善しています。

そう痒数値評価スケールスコア変化率は投与開始後2週時には有意な低下を示し、16週時には-56.6%。

重症度を反映するEASIスコア変化率は投与開始後16週時に-80.1%、52週時に-85.0%。

そう痒感、皮膚の状態ともに改善が見られています。

安全性

アトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同試験3試験において、デュピクセント300mgを2週に1回投与された403例(日本人62例を含む)

副作用は123例(30. 5%)に発現

主な副作用は、注射部位反応 29例(7. 2%)、頭痛 12例(3. 0%)、アレルギー性結膜炎 7例(1. 7%)。

重大な副作用として、重篤な過敏症。

用法

通常、成人には初回に600mg、2回目以降は300mgを2週に1回皮下投与。

2週に1回なので頻繁に受診する必要があります。

治験において16週で有効な結果が得られているため、16週で効果が見られない場合は継続不可です。

適応

ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者

中等症以上の患者にしか使うことができません。

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