まだまだインフルエンザのシーズンですが、その治療薬にはいろいろな種類があります。何が違うのか、それぞれみていきましょう。
インフルエンザの感染経路と感染のメカニズム
神奈川県衛生研究所より引用
感染経路の復習ですが、
接触感染:感染者が触ったものを介して鼻や口から感染。
インフルエンザは飛沫感染と接触感染の2つで感染が広がります。
①インフルエンザウイルスは表面の赤血球凝集素(ヘマグルチニン:HA)を、上気道の上皮細胞表面にあるシアル酸へ結合させて細胞内へ侵入(感染)していく。
②侵入後は脱殻
③核内でRNAの複製と、カプシドやエンベロープなどのウイルスの外側を構成するタンパクを合成させ
④ウイルスを組み立てて、まだ感染していない細胞へ移動するため細胞から出ていく(出芽)。
このとき、再び細胞表面でHAとシアル酸がくっついてしまい、細胞から離れられなくなるのを防ぐためインフルエンザウイルスはノイラミニダーゼ(NA)で結合を切って出芽していきます。
発症から48時間経過すると、この感染のサイクルが非感染細胞まで伝播してしまい、増殖抑制の意味が無くなるため、48時間以内に抗インフルエンザウイルス薬を服用する必要があります。
イナビル、タミフル、リレンザ、ラピアクタ、シンメトレルの違い
いずれの薬剤もNAを阻害して感染した細胞からウイルスを離れられなくすることで感染の拡大を防ぎます。感染している細胞は細胞免疫によって排除されていきます。
イナビル
1回の吸入で服薬は終了。デバイスの操作が簡単。
⇒理解力の低い小児やかなりの高齢者に適しています。
リレンザ
1日2回吸入を5日間継続。デバイスの操作は少し複雑。
⇒イナビルより少し年齢が上の小児、少し下の高齢者に適しています。
タミフル
1日2回内服を5日間継続。
⇒咳症状や肺炎などがあり吸入が難しい患者や、既に1日2回以上の別の内服薬があり飲み忘れにくい患者に適しています。
ラピアクタ
1日1回15分以上かけて点滴。
⇒かなり重症で吸入や内服が難しい患者に適しています。
そのほか
異常行動
インフルエンザによる高熱や解熱剤が原因で起こっている可能性もあるために因果関係ははっきりしていません。
異常行動による事故のリスクを回避するためにも発症から2日はしっかり看病しましょう。
出席停止
発熱を0日として、解熱後2日間は感染拡大を予防するため出席停止が必要です。
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