臓器保護作用があり広く用いられるACE阻害薬とARB。
これらの違いはどこにあるのでしょうか?
ACE阻害薬とARBの違い
ACE-I | ARB | |
---|---|---|
作用機序 | ACEを阻害しAT1・AT2産生の低下 | AT1受容体をブロック |
標的細胞 | 血管内皮細胞・マクロファージ | 血管平滑筋 |
排泄経路 | 主に腎臓 | 主に肝臓 |
副作用 | 空咳・血管性浮腫・高K血症 | 低血圧・高K血症 |
適応外 | 誤嚥性肺炎の予防 | なし |
使用推奨 | 心筋梗塞の二次予防 | なし |
https://www.adalat.jp/ja/home/pharmacist/basic/03/t30.php より引用
ACE阻害薬はブラジキニンサブスタンスPを分解するキマーゼも阻害してしまい、ブラジキニンやサブスタンスPの分解が抑制されます。
これにより空咳の副作用が出やすくなりますが、それを逆手にとって誤嚥性肺炎の予防に用いられます。
一方、ACEを阻害しても他の酵素によってアンジオテンシンが産生されるためAT1受容体への結合を完全に防ぐことはできません。その点ARBは受容体で拮抗するためACEより降圧作用が出やすいです。
ではなぜACE阻害薬は心筋梗塞の二次予防に適しているのでしょうか?
ACEはマクロファージからも産生される
ACEは血管内皮細胞だけでなく、マクロファージからも産生されます。
心筋梗塞の二次予防ということは、すでにプラークが形成されています。プラークを構成しているのはマクロファージ(泡沫細胞)で、ACE活性が高く、産生されたアンジオテンシンⅡによりプラークが進展することが言われています。
そのため心筋梗塞の二次予防にはACE阻害薬が1st、副作用などで使えない時には2ndでARBと推奨されています。
そのほか、肉芽腫などマクロファージが活性化しているサルコイドーシスでも血中のACE濃度が高いという特徴があります。不思議なことにサルコイドーシスでは血圧は高くないのです…謎。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば嬉しいです。
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