細胞接着因子(セレクチン、インテグリン)とは?ニボルマブの作用機序

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作用機序

生物学で習う細胞接着因子ですが、名前がたくさんあって役割も異なっているのでわかりにくいですよね。

医学部編入試験でも問われるような基礎的な内容ですので、簡単におさらいしておきましょう。

実際に臨床で用いられている薬との関連についても書いておきますので参考になれば幸いです。

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細胞接着因子

Essential細胞生物学 第3版より引用

セレクチン

糖鎖をリガンドとして細胞を接着します。白血球表面の糖鎖であるSLXと結合して、白血球のローリング(血管に結合して回転する過程)に関与しています。

https://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/bisei/text/staff/kawashima/kawa-res.htmlより引用

◆臨床との関連

SLXCA19-9も糖鎖であり腫瘍マーカーでもあります。これらは肺癌(特に腺癌)、膵癌、胆道癌などの腺癌で特異的なマーカーです。

癌の浸潤にも関与しており、シメチジン投与によりEセレクチンの発現が低下し、術後再発率が低下するというデータもあります。

インテグリン(αLβ2、LFA-1)

integrate(統合する)という英語の通り、異なる細胞同士を接着します。

結合相手は免疫グロブリンスーパーファミリー(I-CAMなど)。
免疫応答の抗原提示の際にも共刺激因子として関与しています。

がん免疫.jp より引用

共刺激因子としては、抗原提示細胞(APC)側のインテグリンリガンドであるCD86、その受容体のT細胞側にあるCD28があります。

抗原提示細胞側のCD40、T細胞側のリガンドのCD154(CD40L)もこれです。ちなみに、樹状細胞はCD86の発現量が多く、抗原提示しやすい細胞となっています。

◆臨床との関連

潰瘍性大腸炎の治療に用いられています。
エンタイビオ ®(ベドリズマブ)の作用機序

後に出てくるCTLA−4とも関係しています。

 

免疫グロブリンスーパーファミリー

I-CAMなどは、インテグリンと結合し、白血球の遊走に関与しています。なかでも、CD54はライノウイルスの受容体として感染に関与しています。

◆臨床との関連

エリスロマイシンの長期投与によってI-CAMの発現が低下し、感染リスクが低下するという報告があります。COPDの急性増悪を予防するエビデンスの機序として想定されてます。

 

免疫調節機構

過剰な免疫反応は炎症を持続させてしまうため、免疫を抑制するための機構も備えている。がん細胞はそれを利用して細胞免疫を逃れています。

CTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte antigen-4)

がん免疫.jpより引用

図の左上を見てください。

抗原提示細胞の樹状細胞のCD80とCD86は、T細胞のCD28というインテグリンと作用することでT細胞を活性化する共刺激因子の役割を担っています。

活性化しすぎないためのブレーキとして、活性化したT細胞にはCTLA-4が発現します。その構造はCD28と類似しているため、APC表面のCD80やCD86と結合して、共刺激を抑制することで、T細胞の活性化を抑制します。

◆臨床との関連

イピリムマブは抗CTLA-4抗体です。CTLA-4がCD80やCD86と結合しないようにブロックして、T細胞の活性化を持続・増強させ抗腫瘍効果を発揮します。

 

PD-L1(Programmed cell-Death Ligand 1)

通常では、正常な組織に発現しており自己免疫反応をしないように働いている。がん細胞はPD-L1(リガンド)を発現し、免疫細胞であるT細胞のPD-1という受容体と結合して免疫細胞の攻撃を回避しています。

◆臨床との関連

ニボルマブは、抗PD-1抗体であり、癌が免疫から逃れるためのチェックポイント・シグナルPD-1を抑制することにより、リンパ球による癌への攻撃を促進します。

国家試験問題で理解度をチェック!

第104回薬剤師国家試験 問259より引用

ニボルマブは別の薬物を併用すると作用増強が現れる。理論的に考えて、同一細胞における別の標的分子に働くことで、ニボルマブと相乗作用を示すと考えられる併用薬の作用点として適切なのはどれか。1つ選べ。

1 RANKL(NF−κB活性化受容体リガンド)
2 CD20
3 CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球抗原−4)
4 VEGFR2 (血管内皮増殖因子受容体2型)
5 HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2型)

[su_spoiler title=”正解・解説はこちら” icon=”caret”]正解は3です。

免疫学の復習にもなる良問だと思います。

ナイーブT細胞は抗原提示細胞から刺激を受け、活性化され増殖します。活性化したT細胞にはCTLA-4が発現します。腫瘍組織に遊走したT細胞は癌細胞と接触し、その際にPD-1が関与してきます。

この流れから考えると、T細胞の抑制を防ぐという同じ作用を持つCTLA-4分子が答えになると分かります。[/su_spoiler]


以上となります。

最後まで読んでいただき有り難うございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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