「β刺激薬で低カリウム血症!」「バセドウ病は周期性四肢麻痺!」と1対1で丸暗記していませんか?
一度機序を学ぶと、試験本番や臨床現場でも自分で導いたり考えたりすることができるようになります。
β刺激薬でカリウムが低下するメカニズム
β刺激からの反応はGタンパクです。
Gタンパクについてもう忘れたよという方はコチラ
Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達 ゴロ
Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達 ゴロ
β1もしくはβ2刺激→Gsタンパク→アデニル酸シクラーゼ→cAMP上昇→Na/K ATPase活性化→Kが細胞内へ取り込まれる
このため低カリウムをきたします。
インスリンでカリウムが低下するメカニズム
高カリウム血症の治療にグルコースインスリン療法というものがあります。
これは、インスリンもNa/K ATPaseを活性化し、Kを細胞内へ取り込む性質を利用したものです。
バセドウ病で周期性四肢麻痺となるメカニズム
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている病態です。
甲状腺ホルモンT3は、直接・間接の両方でNa/K ATPaseを活性化します。
甲状腺ホルモンはアドレナリン受容体の数を増やす(アップレギュレーション)作用があります。
そのため、β刺激薬と同様の反応の
β1もしくはβ2刺激→Gsタンパク→アデニル酸シクラーゼ→cAMP上昇→Na/K ATPase活性化→Kが細胞内へ取り込まれる
が起こり、低カリウム血症となります。
その結果、低カリウム血症性の周期性四肢麻痺を呈します。
これらのことを踏まえると、甲状腺機能亢進症の患者さんはβ受容体がアップレギュレートされているため、β刺激薬を投与すると、動悸やカリウム低下などの副作用が増強されることが理解できます。
実際、β2刺激薬のリトドリンは重症の甲状腺機能亢進症の方には禁忌となっています。
以上となります。
ポイントは、Na/K ATPaseを活性化することでした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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