Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達 ゴロ

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ゴロ合わせ

薬剤師国家試験でも問われる生物学の基礎の部分で、かつ薬理や薬物治療にも関係してくるGタンパク質共役型受容体。

しかしどのアゴニストがどのGタンパクと共役してるのかなかなか覚えにくいですよね。私が使っていたゴロを紹介します。

暗記するだけでは今後の国家試験に対応できないので、その下流のシグナル伝達と生理学までざっくりやりましょう。そうすると本番で忘れてしまっても思い出しやすくなります。

イメージによるこじつけの部分もありますがご了承ください…

勉強の効率を上げるためにはこちらも参考にしてみてください
効率の良い勉強法


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Gタンパク質とは

がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2010年版)より引用

Gタンパク質は、α、β、γの3つのサブユニットから構成されています。そのうち、Gαタンパク質のみがグアノシン二リン酸(GDP)やグアノシン三リン酸(GTP)と結合できます。

GTPと結合したGαタンパク質は活性型です。いつまでも活性型でいると過剰な反応が起こってしまうので、Gαタンパク質にはGTPをGDPへ分解する能力が備わっています(GTPase活性)。

ちなみにこの能力を阻害するものがコレラ毒素です。
リナクロチド(リンゼス®️)の作用機序とコレラ毒素

リガンドが結合するとGDPをGTPと交換して再び活性型となります。活性型となったGαは、Gβγと解離して、次の効果器へシグナルを伝達します。

Gαには、Gαs、Gαi、Gαq、Gαt、Gαolfなどの種類があり、それぞれ作用が異なります。中でも薬に関与するのはGαs、Gαi、Gαqで、国家試験で問われるところです。

以下は全てGαタンパク質なのでαを省略します。

Gsタンパク質共役型受容体

じーさんのベタベタエッチでアイツもダイスキ 兄もグル

じーさん=Gsタンパク
ベタベタ=β1受容体、β2受容体
エッチに=H2受容体
アイツ=PGI2受容体
ダイスキ=D1受容体
兄=A2受容体(アデノシン受容体)
グル=グルカゴン受容体

◆Gsタンパク質共役型受容体のシグナル伝達

<イメージ>キーワードはAです。
じーさん⇒が悪いイメージ
=(AC)アデニル酸シクラーゼ
Gsのsはstimulate刺激の意味なので、アデニル酸シクラーゼ活性化
シクラーゼはcyclase(環状にする酵素)なのでそれによりATPがcAMP(サイクリック)つまり環状のAMPへ変換されます。
cAMPはPKAを活性化し、PKAが種々のタンパク質をリン酸化。

太字の部分さえおさえれば思い出せなくても連想しやすいと思います。

<ここから各論>

β1受容体

運動中など、動いている時に交感神経が興奮して心拍数が上昇しますよね。あれは、心臓の洞房結節、房室結節、心室筋にβ1受容体が分布しているためです。

β1→Gs→AC→cAMP→PKA→細胞膜や筋小胞体のCa2+チャネルがリン酸化されて開口→細胞質へのCa2+流入増量→心筋収縮力増強

心原性ショックや急性心不全の際にはβ1刺激薬を投与する根拠となります。
アドレナリンとノルアドレナリンの違いと使い分け 作用機序 ゴロ

β2受容体

血管や気管支、消化管には平滑筋がありますが、いずれも交感神経によって弛緩し、副交感神経によって収縮します。

例外:副交感神経で血管平滑筋だけは弛緩します
アセチルコリンで血管が拡張する理由

β2→Gs→AC→cAMP→PKA→ミオシン軽鎖キナーゼがリン酸化され活性低下→ミオシン不活性状態のまま→平滑筋弛緩

気管支喘息ではβ2刺激薬を用います。何故ならcAMPを上昇させ、肥満細胞や好塩基球からのヒスタミン放出を抑制するためです。だからこそアナフィラキシーショックにも用いられます。

アドレナリンとノルアドレナリンどっちを使う?
アドレナリンとノルアドレナリンの違いと使い分け 作用機序 ゴロ

 

H2受容体

H2受容体→Gs→AC→cAMP→PKAがプロトンポンプ(H+,K+-ATPase)を活性化するため、胃内腔へのプロトン放出が促進されて胃酸分泌が亢進します。

これらのことからH2ブロッカーが効くわけです。

グルカゴン受容体

グルカゴンやアドレナリン・ノルアドレナリンが反応して、

PKA活性化→グリコーゲンホスホリラーゼキナーゼ活性化
→グリコーゲンホスホリラーゼがリン酸化されて活性化
→グリコーゲンよりグルコース一1リン酸が切り出される
→肝臓でグルコースー6ホスファターゼでグルコースへ変換⇒血糖値上昇。

グルカゴンは血糖をあげるだけではありません。
β遮断薬中毒にグルカゴンを用いる理由・作用機序

Giタンパク質共役型受容体

あいみょんはまだまだ(MαD)2がんばるべー

あい=Giタンパク、A1受容体(アデノシン)
みょん=μ受容体
まだまだ=M2受容体、α2受容体、D2受容体
がんばるべー=GABAB受容体

◆Giタンパク質共役型受容体のシグナル伝達

<イメージ>
Giのiはinhibit(抑制)の意味。アデニル酸シクラーゼを抑制するためGsタンパクのシグナル伝達とは逆の作用を持ちます。

Giタンパクは少し特殊で、おおよそ中枢神経に発現しているものと考えた方がわかりやすいです。

<各論>

α2受容体

α2受容体は、ほかのサブタイプもありますが、ほとんどは中枢神経のシナプス前終末(神経伝達物質を分泌する側の軸索末端)に発現しています。

自ら分泌した神経伝達物質を認識する自己受容体であるため、その量を調節するフィードバックに関与しています。神経終末のノルアドレナリン濃度が高すぎると

α2刺激→Gi→AC活性低下→cAMP産生低下
→チロシンからドパミンへの変換酵素(チロシンヒドロキシラーゼ)活性低下
ノルアドレナリン産生低下

クロニジンはα2受容体を刺激して降圧作用を発揮します。

GABAB受容体

に広く分布している受容体ですが、Cl-イオンチャネルであるGABAA受容体とは異なり、Gタンパクを介して作用します。

GABAB刺激→Gi
→シナプス前ニューロンにおいて電位依存性Ca2+チャネル抑制
→任意の物質のエキソサイトーシス(分泌)を抑制

バクロフェンはGABAB受容体を刺激して痙縮の治療薬として用いられます。

M2受容体

M2受容体は洞房結節房室結節心筋に存在します。

Gi→K+チャネル開口→K+流出→過分極→活動電位が発生しにくくなる
⇒心拍数や収縮力低下

抗コリン薬のアトロピンは、受容体遮断により心拍上昇させるため徐脈の治療薬として用いられます。

抗コリン薬の禁忌もあわせておさえましょう
緑内障に抗コリン薬が禁忌?

D2受容体

運動は大脳基底核の直接路と間接路でコントロールされています。

直接路:運動の開始(D1受容体)
間接路:不要な運動を抑制(D2受容体)

黒質からドパミンが投射され、D2受容体へ作用すると→Gi→電位依存性Caチャネル抑制→GABA分泌を抑制→不要な運動を抑制

急激にドパミンを遮断すると悪性症候群が起こります。
悪性症候群と悪性高熱症の違い

μ受容体

脊髄や視床にオピオイドμ受容体が存在します。

モルヒネなどのオピオイドがμ受容体へ作用→Gi→Kチャネル開口・Caチャネル抑制により過分極→脊髄や視床の痛覚伝導を抑制

一方で消化管のμ受容体に作用すると便秘となります。
オピオイド誘発性便秘症治療薬 スインプロイクの作用機序 

 

Gqタンパク質共役型受容体

アイ マイ ミー ハイ あたい たくじ キュートでしょ ブイ!

アイ=α1受容体
マイ=M1受容体
ミー=M3受容体
ハイ=H1受容体
あたい=AT1受容体
たくじ=TXA2受容体
キュート=Gqタンパク
ブイ=V1受容体

これらは主に血管平滑筋に作用するものです。

血管を収縮:α1、AT1、TXA2、V1
血管を弛緩:M3、H1受容体

◆Gqタンパク質共役型受容体のシグナル伝達

<イメージ>
キュート(Gq)なオカマのたくじは、ぷるぷるなくちびる(PLC)ホスホリパーゼCが欲しいイメージ。

PLCはPIP2(ホスファチジルイノシトール2リン酸)を分解します。f:id:yashiki5296:20170119023908p:plain

図はPIP2を表していて、赤いはさみはPLCが切断する部位です。これによりジアシルグリセロール(DAG)とイノシトール3リン酸(IP3)へ分解されます。

血管は収縮と弛緩ともに同じカスケードで起こる

平滑筋においては、DAGはPKCを活性化させ、収縮が起こります。

IP3は筋小胞体からCa2+の遊離を促進、Caがカルモジュリンと結合して複合体を形成し、ミオシン軽鎖キナーゼを活性化し、ミオシンがリン酸化され、ミオシン軽鎖がアクチンをたぐり寄せ、その結果平滑筋の収縮が起こります。

でも副交感神経が亢進している時には血圧は下がりますよね。なぜでしょうか。

アセチルコリンはM3受容体→PLC活性化と同じカスケードですが血管は弛緩します。
アセチルコリンで血管が拡張する理由

平滑筋の収縮メカニズムも合わせて復習しましょう。

平滑筋の収縮、カルシウム拮抗薬との関連についてはこちら
→平滑筋とカルシウム拮抗薬

薬剤師国家試験にチャレンジ!

それぞれの受容体に作用する物質とその効果が結びつけられると、薬理学ともリンクしますし、定期試験やCBT、国家試験でも禁忌などに対応できます!低学年のうちからしっかりおさえておきましょう。

第102回薬剤師国家試験 問27より引用

Gタンパク質共役型受容体はどれか。1つ選べ。

1 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体

2 ストリキニーネ感受性グリシン受容体

3 ニコチン性アセチルコリン受容体

4 ヒスタミンH2受容体

5 インスリン受容体

[su_spoiler title=”正解・解説はこちら” icon=”caret”]正解は4です。

ゴロで覚えていれば、他の受容体を知らなくても正解にたどり着けます。[/su_spoiler]


第102回薬剤師国家試験 問151より引用

細胞膜受容体の細胞内情報伝達系に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1 アセチルコリンNM受容体(筋肉型ニコチン性アセチルコリン受容体)を刺激すると、イオンチャネルが開口し、終板電位が発生する。

2 ヒスタミンH1受容体を刺激すると、Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼか活性化され、細胞内サイクリックAMP(cAMP)濃度が上昇する。

3 アドレナリンα2受容体を刺激すると、Gqタンパク質を介してホスホリパーゼCが活性化され、イノシトール三リン酸及びジアシルグリセロールが産生される。

4 オピオイドκ受容体を刺激すると、Giタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ活性が抑制され、細胞内cAMP濃度が減少する。

5 セロトニン5-HT3受容体を刺激すると、イオンチャネルが開口し、抑制性シナプス後電位が発生する。

[su_spoiler title=”正解・解説はこちら” icon=”caret”]正解は1と4です。[/su_spoiler]


Gタンパクが理解できていると、こんな応用も効きます!
β遮断薬中毒にグルカゴンを用いる理由・作用機序



以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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