アメリカのように何か症状で困った際に薬局でセルフメディケーションするのを国は推進しています。
知らないことには対応できないので、聞かれた時にサッと答えられるように準備しておくのは重要なことですよね。
どれが使えますか?
薬剤師国家試験の実務というのは本当に臨床現場で使える知識を尋ねてきます。なかなか侮れません。
第100回 薬剤師国家試験 問318 より引用30歳女性。薬局に便秘薬を求めて来局した。会話の中からこの女性は授乳中であることがわかった。一般用医薬品に含有される成分のうちこの女性が、授乳している期間は使用しないか使用中は授乳を避けるべきものはどれか。1つ選べ。1 日本薬局方センナ末2 ピコスルファートナトリウム水和物3 ビサコジル4 水酸化マグネシウム5 日本薬局方グリセリン
腸粘膜を刺激する下剤のピコスルファートやビサコジルは母乳中へ移行しにくいので除外できます。
また、浸透圧性下剤はそもそも体内へ吸収されにくいので水酸化マグネシウムやグリセリンも除外できます。
一方で、センナやセンノシド、ダイオウはアントラキノン誘導体がその作用機序の本態ですが、アントラキノン誘導体は母乳中へ移行し乳児が下痢を起こす可能性が報告されていますので授乳中は避けるのが望ましい薬剤です。
妊娠中も避けたほうがいい
添付文書にも妊婦や授乳の単語が並んでいますね。
5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益 性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕 なお、投与した場合、子宮収縮を誘発して、流早産の危険性 があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には大 量に服用しないよう指導すること。
2)授乳中の婦人には、授乳を避けさせることが望ましい。〔授乳 中の婦人にセンノシド製剤を投与した場合、乳児に下痢がみ られたとの報告がある。〕
センノシド錠12mg「サワイ」 添付文書より引用
子宮収縮を誘発する可能性があるため妊婦にも避けたほうがよいことが明記されています。
現場との理解の乖離
上記のように、センノシドは授乳・妊娠にも避けたほうがいいことを書いてきましたが、実際の現場では用いられています。
それは産婦人科医の先生へ疑義照会した際に教えていただきましたし、医学部で産婦人科の先生に質問した時も同様でした。くすりの適正使用協議会にも明記してあります。
製薬会社はラットなどの非臨床試験で子宮収縮などの有害な作用があればヒトでなくても服用は避けるように記載しています。初めて承認された際にはどんな副作用があるのかわからないので当然のことだと思います。
しかし現場で処方している医師たちは実際に患者さんが服用した際の反応を見ています。その結果処方するという判断に至っています。
何が言いたいのかと言うと、「国家試験的、つまり教科書的にはNGだけど、現場に出たらそうではないことがあるから気をつけてね」という学生さん達へ対する注意喚起でした。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
コメント