ADHD治療薬インチュニブ®(グアンファシン)の作用機序

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作用機序

2017年3月30日に塩野義とシャイアー・ジャパンから、小児の注意欠陥・多動性障害治療薬としてインチュニブ錠(グアンファシン塩酸塩)が承認されました。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは?

原因

不明ですが、前頭前皮質の機能異常と考えられています。

症状

「不注意」集中できずに気が散ってしまう
「多動性」じっとできず動いてしまう
「衝動性」やりたいことをすぐに行動に移してしまう

これまでの治療薬

・コンサータ(メチルフェニデート)
中枢刺激薬で、ドパミン及びノルアドレナリントランスポーターの再取り込みを抑制することで、シナプス間隙のドパミン及びノルアドレナリン量を増加させて神経系の機能を亢進するものと考えられています。

・ストラテラ(アトモキセチン)
ノルアドレナリントランスポーターの再取り込みの抑制作用が関係していると考えられています。

成分のグアンファシンは降圧薬として使われていた!

商品名エスタリックとして、0.5mg錠で使用されていました。即放性製剤。
作用機序は、延髄の血管運動中枢のα2受容体を刺激し、
ノルアドレナリンの遊離を抑制して交感神経興奮伝達を抑制する。

α2受容体についてはこちらの記事で解説しています。
Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達 ゴロ

インチュニブの作用機序

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インチュニブ錠 インタビューフォームより引用

インチュニブは選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬です。1mg、3mg錠が販売されています。

徐放性の非中枢刺激薬。ADHD患者の前頭前皮質において、後シナプスのα2A受容体の活性が低いことが報告されているため、選択的に刺激することで、減弱しているシグナル伝達を増強させる可能性が示唆されています。

ほかのADHD治療薬と異なり、前シナプスからのドパミンとノルアドレナリン
の遊離促進あるいは再取り込みを阻害する作用はないようです。

副作用

承認時の試験では、254例中190例(74.8%)。
傾眠146例(57.5%)  ←青斑核で覚醒に関与するノルアドレナリン産生低下
血圧低下39例(15.4%) ←降圧薬としての過剰薬効
頭痛31例(12.2%)

特徴

服用時点の指定はないものの、食後服用では吸収率が上がる。1.2~1.4倍。

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徐脈・血圧低下に注意

α2受容体刺激→ノルアドレナリン遊離抑制→血圧低下・心拍低下

代謝酵素はCYP3A4、CYP3A5

CYP3A阻害剤との併用で血中濃度上昇
ケトコナゾール併用でCmaxは約1.75 倍、AUCは約 2.79~3.13倍に増加。
・マクロライド系抗菌薬(~ロマイシン)
・アゾール系抗真菌薬(~アゾール)
・プロテアーゼ阻害薬(~ナビル)

CYP3A誘導剤との併用で血中濃度低下
リファンピシン併用でCmaxは約 54%減少、AUCは約63~69%減少。

肝代謝・腎排泄のハイブリッド

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肝代謝か腎排泄かの判断は、こちらの記事で解説してます。
肝代謝型と腎排泄型薬剤の判断・指標

以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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