医師国家試験の勉強会をしてる時に友人達からシクロスポリンとシクロホスファミドの違いについて尋ねられることが複数回あったので記事にしてみました。
それぞれの作用機序
薬学生は作用機序を勉強させられるので、この2剤の違いについて答えやすいかもしれません。
シクロホスファミドはアルキル化剤(抗がん剤)でT細胞もB細胞も障害します。抗がん剤の副作用で骨髄抑制することを思い出すとリンクしやすいかと思います。B細胞を障害するため抗体産生を抑制する作用があることがポイントです。そのため適応はSLEやANCA関連血管炎、悪性リンパ腫です。
シクロスポリンはカルシニューリン阻害剤でT細胞からIL-2産生を抑制します。IL-2は主に細胞性免疫に関与するサイトカインでしたね。そのため適応は臓器移植後の拒絶反応やGVHD抑制やアトピー性皮膚炎や乾癬、再生不良性貧血です。
作用機序をおさえると、病態生理とも繋がるため忘れにくくなると思います。
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医師国家試験 114A20
24歳の女性。頭痛と発熱のため3日前から入院中である。2週前から微熱と多発関節痛を自覚していた。3日前に38℃台の発熱と頭痛が出現したため受診し、同日入院した。入院時、身長160cm、体重48kg。体温38.3℃。脈拍92/分、整。血圧126/74mmHg。呼吸数18/分。頬部紅斑、無痛性の口腔内潰瘍を認める。両手関節、両膝関節に圧痛を認める。血液所見:赤血球326万、Hb 10.4g/dL、Ht 28%、白血球2,600(桿状核好中球70%、分葉核好中球12%、好酸球2%、リンパ球16%)、血小板23万。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陽性、抗dsDNA抗体134IU/mL(基準12以下)、抗Sm抗体陽性。抗β2GPI抗体陰性、抗カルジオリピン抗体陰性、ループス抗凝固因子陰性。入院2日目から見当識障害を認め、その後せん妄状態となった。脳脊髄液所見:無色、水様透明。初圧130mmH2O(基準70〜170)。細胞数52/mm3(基準0〜2)(多核球20%、単核球80%)。蛋白87mg/dL(基準15〜45)、糖48mg/dL(基準50〜75)。頭部MRIで異常を認めない。
この患者の治療で副腎皮質ステロイドと併用する薬剤として適切なのはどれか。
a コルヒチンb 抗TNF-α抗体c メトトレキサートd 抗IL-6受容体抗体e シクロフォスファミド
医師国家試験 109I76
60歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。3週前から乾性咳嗽が、2週前から血痰が出現した。昨日から38℃台の発熱と呼吸困難とを生じたため受診した。意識は清明。身長150cm、体重48kg。体温37.4℃。脈拍92/分、整。血圧124/86mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。心尖部にII/VIの汎〈全〉収縮期雑音を聴取する。右胸部と右背部とにfine cracklesを聴取する。尿所見:比重1.011、蛋白1+、潜血2+。血液所見:赤血球280万、Hb 8.2g/dL、Ht 28%、白血球13,600(桿状核好中球10%、分葉核好中球81%、好酸球1%、単球3%、リンパ球5%)、血小板36万。血液生化学所見:アルブミン3.3g/dL、AST 50U/L、ALT 30U/L、LD 710U/L(基準176〜353)、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL。免疫血清学所見:CRP 16mg/dL、抗核抗体160倍(基準20以下)、MPO-ANCA 300EU/mL(基準20未満)。胸部CTを別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ。a フロセミドb ニトログリセリンc シクロホスファミドd 副腎皮質ステロイドe サラゾスルファピリジン
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば幸いです。
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