薬剤師という肩書きを持っている以上、薬の副作用には敏感です。
患者さんや医師からの「この薬でこんな副作用ありますか?」という問い合わせに出会うことも多いです。
そんな時、どんな情報源にあたるかを記事にしてみました。
基本は添付文書とRMP!
RMPとは、医薬品リスク管理計画(Risk Management Plan)のことで、PMDA(医薬品医療機器総合機構)が公開している、薬の「開発」「審査」「市販後」のそれぞれの段階で懸念された副作用情報をまとめたものです。
手っ取り早く調べたい時、実際に治験の段階や販売された後に副作用の報告があったものを調べたい時には添付文書を参照します。
一方、販売され始めてあまり時間が経っていない薬剤の副作用を調べたい時、まったく副作用の原因の薬剤の見当がつかない時はRMPを参照します。
それでも見つからない場合は、医中誌やpubmedで、学術的文献を検索します。
RMPの使い方
詳細についてはPMDAのホームページがわかりやすいのでリンクを貼っておきます。ご参照ください。
薬剤師国家試験にも出題されている!
近年、医師国家試験も薬剤師国家試験も医療現場で求められる生きた知識が問われるようになってきています。
現場ではRMPを参照してどんな副作用のリスクがあるのかを判断し、それを患者さんや医師へフィードバックする必要があります。それを反映した良問だと思います。
第104回薬剤師国家試験 問287 より引用
ドネペジル製剤の医薬品リスク管理計画書(RMP)の概要から、下記のような 「重要な特定されたリスク」が確認できた。これらの回避のために、薬剤師の対応 として適切なのはどれか。2つ選べ。
1 心機能のモニタリングの必要性を医師に伝える。
2 急性膵炎予防のため、カモスタットメシル酸塩錠の併用を医師に提案する。
3 パーキンソニズムが悪化した場合、ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠の増量を医師に提案する。
4 消化性潰瘍予防のため、ランソプラゾール口腔内崩壊錠の投与を医師に提案する。
5 血小板減少の早期発見のため、出血などに注意することを医療従事者間で情報共有する。
正解は1、5です。
選択肢2と4のように、何らかの副作用予防のために処方薬を増やしてしまうとそれこそ処方カスケードとなり、ポリファーマシーを惹起してしまいます。
症状や身体所見、生化学検査で急性膵炎や消化性潰瘍が疑われる場合に処方が検討されるので誤り。
選択肢3については、ドネペジルはそもそもアセチルコリンエステラーゼ阻害薬なので、アセチルコリンが増加しパーキンソニズムを悪化させる方向へ作用します。増量ではなく減量なので誤り。
認知症でドネペジルを服用し始めた患者さんで徐脈や胃の不快感を認めることは結構ありました。
添付文書やRMPなどの情報源を活用して副作用を早期発見していける医師兼薬剤師となりたいものです。
コメント