少しわかりにくいモルヒネなどのオピオイドによる副作用をまとめてみました。
副作用
オピオイドであるモルヒネの鎮痛作用を得ようとすると、先に便秘、悪心、嘔吐などの副作用が出現する可能性が高いですよね。さらに重篤なものだと呼吸抑制が生じます。
これらは実は順番があります。しかしこれは暗記するものではありません。すべて論理的に導けます。
メディックメディア 薬がみえる Vol.1 より引用
オピオイドとその副作用の関係性は、作用部位と血中濃度で考えるとスッキリします。
作用部位とその効果
オピオイドはμ受容体と、ドパミンD受容体を刺激します。
オピオイドの作用部位であるμ受容体には、μ1とμ2の2つのサブタイプがあり、便秘を引き起こすのは主にμ2受容体です。
消化管のμ2受容体刺激→便秘
第4脳室の化学受容器引き金帯(CTZ)のD2受容体刺激→悪心・嘔吐
中枢(視床)のμ受容体刺激→鎮痛
作用部位への薬の移行性のしやすさ
ここでのポイントは、中枢である脳や、延髄に到達するには、血液脳関門や血液脳脊髄液関門を通過する必要があるということです。
後述しますが、オピオイドは基本的に経口投与です。
小腸→門脈→肝臓→全身循環に乗ります。
メディックメディア 薬がみえる Vol.1 より引用
この図と照らし合わせながら読んでいってください。
・消化管には血液脳関門が無い
⇒投与量少なくても容易に受容体へ到達して便秘が起こります。
・投与量を少し上げると、血液脳脊髄液関門を通過する量が増える
⇒第4脳室のCTZへ到達して嘔吐が起こります。
・さらに投与量を増やすと、血液脳関門を通過
⇒中枢で鎮痛作用を発揮します。⇦欲しい作用はココ!!
・また更に投与量を増やすと、中枢を抑制
⇒眠気、延髄の呼吸中枢まで抑制すると呼吸抑制が起こります。
以上のように血中濃度のコントロールが非常に重要で下手をすると呼吸抑制となり致死的であるため、オピオイドは静脈投与しません(一度血管の中にはいってしまうと取り出せないため)。
副作用への対策
便秘は必発しますので、酸化マグネシウムなどの緩下薬、ピコスルファートやセンノシドなどの刺激性下剤、近年発売されたナルデメジンなどのオピオイド拮抗薬などの投与が必要です。
呼吸抑制には中枢性オピオイド拮抗薬であるナロキソンを用います。
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば嬉しいです。
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