循環器内科の教授に聴きました。循環器の一番わかりやすくて的確な参考書はガイドラインだそうです。
病態と薬の作用をリンクさせているか
日本心臓財団 高血圧治療ガイドライン・エッセンスより引用
病態と薬の作用をリンクさせると理解しやすかったのでまとめてみます。
左室肥大
病態:高血圧など後負荷が高い背景があり、それに負けないよう心筋が肥大します。
薬の作用:そのため降圧作用に優れたカルシウム拮抗薬とACE-I・ARBが適しています。
左室駆出率の低下した心不全
病態:慢性心不全の病態です。慢性心不全の状態では代償的に交感神経とレニンアンジオテンシン系(RA系)が亢進します。心臓のポンプ機能が低下しているためにうっ血を呈してきます。
薬の作用:交感神経(β刺激)を抑えるためにβ遮断薬、RA系を抑えるためにACE-I・ARBが適しています。うっ血を改善するために体外へ水分を排泄する利尿薬も適しています。
逆に、心抑制作用のあるカルシウム拮抗薬はさらに駆出率を低下させうるため使いにくいですね。
頻脈
病態:心拍数が早い病態です。
薬の作用:心拍数を下げるレートコントロールの薬剤である、非ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬とβ遮断薬が適しています。
狭心症
病態:アテロームで血管が狭窄している労作性、一過性に血管がけいれんして狭くなる冠攣縮性があります。
薬の作用:労作性には心拍数・収縮力を弱めて酸素需要を下げるβ遮断薬、冠攣縮性には血管拡張作用のあるカルシウム拮抗薬が適しています。
心筋梗塞後
病態:冠動脈の閉塞により心筋が壊死した状態です。壊死した部分を補うために正常の心筋が肥大(リモデリング)してきます。
薬の作用:ACE-I/ARBには心筋リモデリング抑制効果、β遮断薬には心拍数や心筋収縮力を低下させて酸素需要を低下させる効果があります。
蛋白尿/微量アルブミン尿を有するCKD
病態:種々の原因で機能している糸球体が減っていく病態です。
薬の作用:輸出細動脈を収縮させるアンジオテンシンⅡの作用をブロックして輸出細動脈を拡張させ糸球体内圧を下げて糸球体への負荷を軽減するACE-I/ARBが適しています。
国家試験問題で理解度をチェック!
第101回薬剤師国家試験 問272〜273より引用
58歳男性。本態性高血圧症及び狭心症に対して外来で薬物治療を受けていたが、急に症状が悪化したため入院となった。薬剤師が面談し、薬物の使用状況等について尋ねたところ、めまいや、一過性の意識障害などの症状が現れることが時々あったため、最近になって自己判断で服薬を止めていたことが判明した。
この患者が服用していた薬物として最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。
1 アリスキレンフマル酸塩
2 エナラプリルマレイン酸塩
3 カンデサルタンシレキセチル
4 ニフェジピン
5 フロセミド
以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
少しでも参考になれば嬉しいです。
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