医療従事者に必須の知識 病態

メトホルミンとヨード造影剤

国家試験でも超頻出のこの相互作用。

これだけ出題されるのは当然現場でも注意を要するためです。

併用するとどうなる?

メトホルミンは糖新生を抑制するため、乳酸が蓄積しやすくなります。

そのため以下の病態では乳酸が蓄積し、乳酸アシドーシスのリスクとなるため禁忌となっています。

腎機能障害や透析(メトホルミンは腎排泄型のため蓄積する)

心不全や肺塞栓(組織への酸素供給が低下し好気的代謝が行えずに乳酸が蓄積するため)

肝機能障害や過度なアルコール摂取者(肝臓での乳酸分解が低下するため)

 

メトホルミン単剤でもこれだけ禁忌を設定されているのです。

 

同じく腎排泄のヨード造影剤を用いると、腎臓へ負荷をかけてしまい一過性に腎機能が低下します。そのためメトホルミンがうまく排泄されず、乳酸の産生が亢進して乳酸アシドーシスの危険性が高まってしまいます。

そのため検査当日(●)に加えてその前後2日間、合計5日間休薬する病院が多いです。

◯◯●◯◯5日間!

名称がいろいろあるから注意して!!

造影CTの予約入ってて、患者さんが「メトホルミン」を服用してるなら皆中止するのを忘れないんですが、メトホルミン製剤は近年いろんな名称で出てきてるのでスルーされることが多いです!

特に配合錠は要注意!!

・グリコラン錠
・メトグルコ錠
・ジベトス錠
・ジベトスS腸溶錠
・メトホルミン塩酸塩錠
・イニシンク配合錠
・メタクト配合錠
・エクメット配合錠

 

乳酸アシドーシス

乳酸アシドーシスは致死率50%以上の非常に予後の悪い代謝性アシドーシスです。

胃腸症状(下痢、嘔吐など)、筋肉症状(筋肉痛、倦怠感など)で初発し、検査では乳酸値の上昇(45mg/dL以上)と、それによるアニオンギャップの開大が見られます。

対処としてはメトホルミンの中止と生食の輸液。血液透析も有効。

でも何よりもまずは救急対応が実施できる病院へ搬送が1stです。

国家試験問題で理解度チェック!

第112回医師国家試験 A57より引用

48歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。同行した家人によると、3年前からかかりつけ医で2型糖尿病の内服治療を受けている。喫煙歴はないが、毎日缶ビール500 mLを1、2本程度飲むという。昨日は糖尿病の薬を普段通りに内服し、夕食時に缶ビール3本に加えて日本酒2合を飲んで就寝した。朝になっても 起きてこないので家人が様子を見に行ったところ反応がおかしかったので救急車を要請した。

意識レベルは JCSⅡ-20。身長 170 cm、体重 81 kg。体温 35.7 ℃。心拍数 92/分、整。血圧 156/98 mmHg。呼吸数 24/分。SpO2 99 %(room air)。家人が持参してきていたお薬手帳を示す。

血糖に加えて、まず確認すべき血液検査項目はどれか。


a 乳酸
b ケトン体
c インスリン
d アルコール
e 血清浸透圧

これは面白い問題だと思います。医学生でお薬手帳を見る機会はそんなに無いのでこの問題で見慣れておくといいと思います。

メトホルミンを1日750mg→1日1500mgへ増量されています。メトホルミンは用量依存性が大きいので1000mg以上となるとHbA1cもしっかり下がってくる印象です。

一方で乳酸アシドーシスのリスクも上がりますのでそれを念頭においていただいて正解はa。

 

第113回医師国家試験 D21より引用

45歳の男性。膵腫瘍の精査のため来院した。15年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所で内服治療を受けている。3か月前から急激に血糖コントロールが悪化したため腹部超音波検査を受けたところ、膵腫瘍が認められ紹介受診となった。eGFR 48mL/分/1.73m2。

腹部造影CTを計画する際に検査前後数日間の休薬を検討すべき薬剤はどれか。

a DPP-4阻害薬
b SGLT2阻害薬
c ビグアナイド薬
d スルホニル尿素薬
e α-グルコシダーゼ阻害薬

これがビグアナイド系のメトホルミンです。正解はc。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。