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DPP-4阻害薬による類天疱瘡って何?

2018年10月1日

DPP−4阻害薬の添付文書に書いてある副作用の類天疱瘡。どんな疾患かご存知でしょうか?

私が通っていた薬学部では皮膚科の疾患を習わなかったので、薬剤師として働いていた頃に報告され始めたDPP−4阻害薬服用者の類天疱瘡についてはよくわかっておらず、独学で対応していました。

今現在、医学部で皮膚科を履修したのでまとめてみました。

類天疱瘡とは?

正確には、水疱性類天疱瘡といいます。水疱というのは水ぶくれのことです。

表皮の中に水疱を作る天疱瘡に対して、表皮の下に水疱を作る点が似ているので、似た者を意味する「類」が付いています。

これを読んでもなんのこっちゃと感じると思いますので、ひとつずつ確認していきましょう。まずは基本である皮膚の構造からです。

皮膚の構成

あたらしい皮膚科学 第2版 より引用

皮膚は表面から、表皮→真皮→皮下組織の順番になっていましたね。

表皮はさらに細かく、表面側から角質層→顆粒層→有棘層→基底層に分かれています。

上の写真で、画面の上半分が表皮で、下半分が真皮です。その境界線は波うっているように見えます。

基底層では、基底膜という膜に角化細胞が結合していますが、その結合に関与しているのがヘミデスモソームです。

水疱性類天疱瘡の病態

ヘミデスモソームを構成する17型コラーゲン(BP180)や、BP230への自己抗体が産生されることで基底膜が攻撃され、表皮が浮いた状態になります。そこに水がたまることで表皮下に水疱が形成されます。

表皮の下で水ぶくれ(水疱)を形成しているので、皮が厚くやぶれにくいという特徴があります(Nikolsky現象は陰性)。

あたらしい皮膚科学 第2版 より引用

PMDAの副作用データベースで検索してみましたが、作用がしっかりしているためよく用いられるビルダグリプチンは2018年だけで35件の類天疱瘡の報告があがっていました。

処方はそれよりもかなり多いので頻度としては低いのかもしれません。

治療は?

DPP-4阻害薬に関連しない水疱性類天疱瘡と同じく、ステロイド内服が効くようです(1日に0.5g/kg)。

軽症例では外用のみでコントロールされることも。

当然ながらDPP-4阻害薬を中止します。

DPP−4阻害薬の服用でなぜ水疱性天疱瘡が起こるのか

DPP−4という分子は細胞表面抗原であるCD26と同一の分子であることがわかっており、腸管粘膜細胞や血管内皮細胞だけでなく、Tリンパ球にも発現しています。

関節リウマチやバセドウ病などの自己免疫疾患患者の末梢血のTリンパ球にCD26が強く発現していることが報告されています(CD26/DPP-4と免疫防御)。

これは私見ですが、CD26は共刺激分子として作用するようですので、その分解を阻害することでTリンパ球が過剰に活性化して自己免疫疾患を引き起こすのではないでしょうか?

以上になります。参考になれば嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。