抗菌薬の組織移行性の覚え方〜脂溶性との関係〜

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医療従事者に必須の知識

抗菌薬がどの組織に入って行きやすいかを組織移行性といいます。この性質は薬剤が油に溶けやすいか、水に溶けやすいかという性質と密接な関わりがあります。

この性質は延いては抗菌スペクトルにも関わってきます。

◯◯系の抗菌薬のゴロについてはコチラ
抗菌薬の系統・排泄経路・副作用の覚え方やゴロ
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脂溶性か水溶性か

系統でまとめているので、もちろん個々の薬剤で性質が異なることがあります。あくまでも目安と考えてください。

脂溶性

ニューキノロン系
マクロライド系
テトラサイクリン系
リンコマイシン系

 

「マクロライド」というのは、「マクロ(大きな)ライド(環状構造)」を意味します。大きな環は多くの炭化水素を含みます。炭化水素は疎水性のため、マクロライドは脂溶性です。

「テトラサイクリン」は「テトラ(4つの)サイクリン(環状構造)」の意味なので、マクロライド系同様炭化水素が多く、脂溶性です。

「キノロン」骨格は脂溶性の高いベンゼン環を含みます。→脂溶性
ベンゼン

ゴロの方が覚えやすいという方はこちらをどうぞ

「おニューのチャリが真っ黒になるまでサイクリングする」
ニュー:ニューキノロン系
真っ黒:マクロライド系
サイクリング:テトラサイクリン系

水溶性

βラクタム系(ペニシリン系・セフェム系・カルバペネム系)
アミノグリコシド系
グリコペプチド系

βラクタム系は全て水溶性です。

また名称に「グリコ」=糖が付いてるものも水溶性です。

臓器移行性

移行臓器移行性の高い抗菌薬
ニューキノロン系・マクロライド系・テトラサイクリン系・リンコマイシン系
肝・胆道ニューキノロン系・マクロライド系・テトラサイクリン系
リンコマイシン系・ペニシリン系・セフェム系
腎・尿路ニューキノロン系βラクタム系・アミノグリコシド系・グリコペプチド系
髄液ニューキノロン系・マクロライド系・テトラサイクリン系
カルバペネム系・第3〜4世代セフェム系・ペニシリン系・クロラムフェニコール
ニューキノロン系・マクロライド系・テトラサイクリン系

※Mφ=マクロファージ

先ほど水溶性と覚えてもらった薬剤が腎・尿路に移行しやすいのは水→尿なのでわかりやすいですね。

それ以外は脂溶性で覚えてもらった薬剤が何度も登場しているのがわかるかと思います。脂溶性なので肝臓で代謝を受けて体の外に排泄されます。

抗菌スペクトルとの関連

細菌の中には、ヒトの細胞の中で増殖できる細菌がいます。マクロファージなどの中で貪食に耐えて増殖できるやつです。

リケッチア、クラミジア、チフス、レジオネラ、結核菌などは脂溶性の抗菌薬が効きます。

ここで重要なのは、ニューキノロン系は結核菌にも少し効いてしまうということ。

結核なのに肺炎と考えてニューキノロン系を処方してしまうと、中途半端に効くため一時的に良くなりますが殺しきれません。なので結核の診断が遅れてしまうことになります。

必ず微熱や長引く咳などのキーワードを確認してから投与が必要みたいです!

薬剤師国家試験の問題で理解度チェック!

第101回薬剤師国家試験 問262、263より引用
59歳男性。
2日前より上気道感染症状(軽度の咳)を訴えていたが今朝、突然の悪寒、震えと発熱39℃を認め受診した。
肺炎球菌が検出されたので抗菌薬が処方されることとなった。
検査所見:呼吸数10/分、右肺野にラ音聴取。胸部X線にて右肺野に肺炎像を認める。
ALT 10IU/L、AST 19IU/L、γ-GPT 22IU/L、血清クレアチニン値 5.5 mg/dL、クレアチニンクリアランス21 mL/min
問262(実務)
この患者に対して投与量を調節する必要性が低いのはどれか。1 つ選べ。
1 注射用イミペネム・シラスタチンナトリウム
2 アジスロマイシン水和物錠
3 セフィキシム水和物カプセル
4 アンピシリン水和物カプセル
5 レボフロキサシン水和物錠

[su_spoiler title=”正解・解説はこちら”]正解は2です。

肺炎の起炎菌が肺炎球菌だと判明しているためファーストチョイスはペニシリン系ですが、高度腎機能低下のため肝代謝型の薬剤はどれかを問われています。

答えは2。マクロライド系であるアジスロマイシンです。

[/su_spoiler]


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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