ステロイドの副作用は怖くない!覚え方・ゴロ

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作用機序

「ステロイドの副作用ってなにかわからないけど怖い」「強い薬なんですよね?」「これ使って大丈夫ですか?」

毎日ステロイド薬を患者さんに調剤する中で毎日のようにされた質問です。

薬学部+医学部と人より少しだけ長くステロイドについて勉強してきてわかったことを記事にしてみました。

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ステロイドは怖い薬ではありません!

これは薬剤師・医学生として、元アトピー性皮膚炎の患者として言えます。

私は小さい頃重症のアトピー性皮膚炎で常にかゆくて掻いてしまいジュクジュクの状態でした。

外用では最強(ストロンゲスト)のデルモベート®️を使っていたと思います。それでもなかなか安定せず、ひどい時にはステロイドの内服もしました。

使ってみると効果は覿面で、一気にかゆみを抑えられた感動がありました。「薬ってすごい」これが最初に薬剤師になろうと思ったきっかけだったと思います。

確かに今振り返ってみると不眠、皮膚萎縮や毛細血管拡張が出ていたようです。でもこれらの副作用に関しては医師や薬剤師の先生方が残らないように適切に減量や中止をしてくださっていたおかげで残っていません。

効果ははっきり出ます。でもその分、副作用も出ます。

どの角度から見るかによって見え方は全然変わってきます。よく諸刃の剣と喩えられますが、ステロイドによって救われる患者さんもいます。私もそうでした。

副作用よりも効果を引き出したい。だからこそ私たち医療従事者が副作用を防いだり対処する術を学んでいます。どうか怖がって勝手にやめたりせずに適切な使用をこころがけてください。

以下は医療従事者向けに詳しい内容を記載しています。

覚え方

いきなり副作用の一覧を見ても頭に入ってきにくいので、まずはステロイドの役割を考えてみましょう。

一番有名なのはストレスを受けた時に上昇するコルチゾールでしょうか。闘争・逃走反応と言われています。危機的状況に対して戦うか逃げ出すためにエネルギーを末梢から体幹へ動員します。

血圧が高い方が筋肉へ血が届きやすい、Na再吸収→高血圧・浮腫

血糖が高い方が脳も筋肉も働きがよい→高血糖

タンパク質や脂肪を分解して血糖を作り出す→筋萎縮・皮膚萎縮・脂質異常・骨粗鬆症

出てきた脂肪酸は体幹に蓄える→中心性肥満

好中球は血管内に、リンパ球は骨髄内に留める→易感染・白血球増加

危機的状況で落ち着くわけにはいかない→精神障害(躁)・不眠

 

ゴロの方がいいという方には有名なゴロがあります。

ステレオのトーンこそ迫力 心は快感

ステ:ステロイドの副作用
トーン:糖尿病
こそ:骨粗鬆症
迫:白内障
力:緑内障
心:精神障害
快:潰瘍
感:感染症

副作用の分類

軽症なものと重症なもの、発現時期で分類しました。投与量が多ければ発現時期はもっと早くなります。

数時間数日2〜3週1〜2ヶ月3ヶ月以降
軽症食欲亢進浮腫・低K血症
白血球増多
中心性肥満
痤瘡
多毛
月経異常
満月様顔貌
皮膚萎縮
皮下出血
重症高血糖高血圧
精神障害
不眠
副腎抑制
脂質異常
骨粗鬆症
無菌性骨壊死
易感染
白内障
緑内障
筋力低下

軽症の副作用は減量で改善します。
重症の副作用はそれぞれ対応が必要です。

消化性潰瘍

消化性潰瘍はメタアナリシスで認められず、「消化性潰瘍診療ガイドライン2015」でもステロイド単独では消化性潰瘍のリスクではないことが明言されています。

NSAIDsと併用時にはリスクが高まるためPPIの併用を考慮します。

高血圧

鉱質コルチコイド作用により腎尿細管でのナトリウム再吸収とK排泄を促進します。その結果、高血圧や浮腫、低K血症を引き起こします。

減塩などの生活習慣改善を進めたり、ステロイドの減量で元に戻らなければ降圧薬の投与を考慮します。

易感染

ステロイドは好中球が血管内から炎症部位へ遊走するのを抑制します。結果、血中にとどまる好中球が多くなります。炎症部位へ行けないため感染に弱くなります。

一方、リンパ球や好酸球のアポトーシスを誘導するため減少します。加えて抗体産生も減少するため易感染となります。

白血球の割合としては好中球が大多数なのでトータルとして増加します。

手洗いやうがいの徹底を指導します。

PSL 20mg/day以上が2ヶ月以上続く場合にはニューモシスチス肺炎の予防にST合剤(バクタ®)投与を考慮します。

リンパ球のアポトーシスを誘導する副作用を利用して、悪性リンパ腫の治療に用いられています。

高血糖

骨格筋や脂肪への糖の取り込みを抑制し、肝臓からの糖新生を亢進するため血糖値が上昇します。

肥満の是正や食事療法を行います。

ステロイド糖尿病の早期発見・治療が重要です。
ステロイド糖尿病の早期発見には空腹時と食後血糖のどちらをみるか

ステロイド糖尿病となった場合には朝方の低血糖傾向があるため、低血糖を起こしにくいDPP-4阻害薬が投与されることが多いです。

骨粗鬆症・無菌性骨壊死

腸管からのCa吸収を低下させ、破骨細胞のアポトーシスを抑制するため、骨吸収が亢進し、骨がもろくなります。

PSL5mgを3ヶ月以上服用する際には予防としてビスホスホネートや活性型ビタミンD、テリパラチドの投与が推奨されています。

無菌性骨壊死の早期発見のためにMRIのT2強調像で高信号の虚血性変化をチェックします。

血栓症

ステロイドは血小板の凝集能を亢進させるため、血栓症が起こりやすくなります。

予防的に抗血小板薬の投与が考慮されます。

満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、脂質異常症

ステロイドが末梢の脂肪分解を促進するほか、肝臓でのコレステロール合成を促進するため高トリグリセリド血症や高コレステロール血症となります。

食欲も亢進し、体重増加も起こってきます。

これらの影響によって顔、肩、体幹へ脂肪がたまり、満月様顔貌や中心性肥満となります。

脂質が高い状態は動脈硬化のリスクとなりますので、スタチン系薬剤の投与が考慮されます。

精神症状

ステロイドが中枢へ移行して精神状態に変化が起こります。
躁や不眠が多く見られます。

減量によって改善が見られます。

対症療法として睡眠導入剤や向精神薬の投与が考慮されます。

副腎不全

ヒトは1日に副腎皮質からコルチゾールがプレドニン換算で3〜4mg程分泌されています。

それ以上の量を長期服用した場合にはネガティブ・フィードバックによって自前のコルチゾール分泌が抑制されます。

その状態で服薬をやめてしまうと体内のステロイドが不足し、急性副腎不全となり血圧低下や頭痛、倦怠感を引き起こしてしまいます。好酸球やKの上昇などの検査値異常がみられます。

副腎不全の場合には自前のコルチゾールと同じ作用をもつヒドロコルチゾン(コートリル®️)を投与してステロイドを補います。

白内障・緑内障

発生の機序はいまだにわかっていません。

白内障の場合は見えにくさで気付きやすいですが、緑内障の場合は眼圧が上昇していても自覚症状がないことがありますので、定期的に眼科を受診することが重要です。

その他

ステロイドには弱い男性ホルモン作用もあるので多毛や生理不順、痤瘡が出現します。

そのほか、皮膚萎縮、皮下出血、筋萎縮などはステロイドの減量により改善します。

国家試験問題で理解度をチェック!

歯科医師国家試験 109A21

副腎皮質ステロイド薬の副作用でないのはどれか。1つ選べ。

a. 低血糖
b. 易感染性
c. 骨粗鬆症
d. 消化性潰瘍
e. 満月様顔貌

正解はaです。


医師国家試験 101B100

副腎皮質ステロイド薬大量投与でみられないのはどれか。

a 多毛
b 低身長
c 白内障
d 満月様顔貌
e 末梢神経障害

正解はeです。


看護師国家試験 105回午前17

ステロイド薬の副作用(有害事象)はどれか。

1.便 秘
2.口内炎
3.低血圧
4.骨粗鬆症

正解は4です。


薬剤師国家試験 98回問61

クッシング症候群の病態に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 満月様顔貌
2 中心性肥満
3 高カリウム血症
4 耐糖能異常
5 無月経

正解は3です。


医師国家試験 83A69

全身性エリテマトーデス〈SLE〉の患者で、経過観察中に臨床像が変化した。 投与中の副腎皮質ステロイドの減量が適切な場合はどれか。2 つ選べ。

a ニューロパチーの出現
b タール便の排泄
c 細菌感染症の合併
d 尿蛋白の増加
e 尿糖の出現

正解はcとdです。

重篤な副作用はどれかという問題に読み替えることができます。

神経障害は出ませんし、尿タンパク増加はむしろステロイド足りてないのでaとbは×。

タール便は消化管出血、感染症は易感染、尿糖は高血糖と読み替え可能です。感染症が一部重篤ですから1つはcです。残りは消化管出血か尿糖で、即バイタルに直結する点を考えて消化管出血のbとなります。

参考文献

https://www.iryogakkai.jp/2011-65-11/585-93.pdf

http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/5/52326/20160528115412295120/126_59.pdf


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば嬉しいです。

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