サルコペニアとフレイル、ロコモティブシンドロームの違い

医療従事者に必須の知識

はい。よく違いがわからないシリーズです。端的にこれらの違いや関係を説明できるでしょうか?恥ずかしながら私はできませんでした。

なので個人的に調べてまとめてみました。参考になれば幸いです。

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サルコペニア

サルコ=筋肉、ペニア=減少なので筋肉量が減る状態を指しています。

加齢に伴う筋量の低下、それにより筋力や運動機能の低下を指します。

ものを飲み込むことを嚥下といいますが、食べ物を噛む咀嚼筋群、食べ物を口から喉に送り込む舌下筋群、逆流しないようにする食道括約筋などが関与しています。

これらの筋肉が衰えてしまえば、誤嚥をきたしやすくなります。

足の筋肉が衰えてしまえば歩行しにくくなり転倒のリスクも高くなってしまいます。

アジア人の診断基準は以下の通りです。

歩行速度:0.8m/秒以下握力:男性26kg未満、女性18kg未満

筋肉量の低下:四肢骨格筋量(DXA法)男性7.0kg/㎡未満、女性5.4kg/㎡未満

握力もしくは歩行速度の低下があって、さらに筋肉量の低下が示されればサルコペニアと診断されます。

ロコモティブシンドローム

locomoteは動き回るという単語です。

ロコモティブシンドロームは運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指します。

運動に関わる骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経のことをまとめて運動器といいます。移動機能とは立ったり座ったりする機能を指すようです。

運動器の構成要素に筋肉が入っていますので、サルコペニアはロコモティブシンドロームに含まれます。

具体的には骨粗鬆症、脊柱管狭窄症や、変形性関節症などで日常生活に支障をきたした状態をいいます。

2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。整形外科の先生いわく、「世間でメタボリックシンドロームが有名になってきたから、整形外科からも何か出さないといけないと思った」とのことでした。

歩行などの移動機能が障害されればどこかに出かけるのが億劫になりますし、寝たきりにもなりやすくなります。リスクが高くなります。

フレイル

フレイルとは、「虚弱、衰弱」を意味し、加齢とともに筋肉や認知機能が低下して、要介護や死亡の危険性が高い状態です。

健康な状態と要介護状態の中間と考えるとわかりやすいです。

筋肉だけでなく認知機能も含めていることがポイント。

幅広い概念ですので、社会的、身体的、精神的の3つに大別されます。

社会的:独居や閉じこもり

身体的:嚥下機能低下(サルコペニア)、低栄養

精神的:うつ、意欲・判断力・認知機能低下

診断基準は以下の通りです。3つ以上該当すればフレイルと診断されます。

体重減少:6か月で、2~3kg以上の体重減少

握力:男性26kg未満、女性18kg未満

疲労感:ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする

歩行速度:1.0m/秒以下

身体活動:定期的な運動・スポーツをしていない

 

サルコペニアの診断基準と比較すると、握力、歩行速度の項目は共通です。筋肉量の減少という項目も、体重減少と読み替えればすべての項目が同じになっています。

サルコペニアをベースにしてフレイルになっていくという流れが見えてきたかと思います。

それぞれの関係は?

日本老年医学会 「ロコモティブシンドロームにおけるサルコペニア の位置付け」より引用

上の図のように、サルコペニア∈ロコモティブシンドローム∈身体的フレイルとなっています。

わかりやすいようにストーリーにしてみると、

歳をとるにつれて筋力が低下してきた(サルコペニア)ので、どこかに出かけるのも困難で億劫になってしまった(ロコモティブシンドローム)。

この状態を身体的フレイルといいます。

さらに、身体的フレイルによってあまり外出しなくなると、閉じこもりなどの社会的フレイルや、人と会話しなくなるために認知機能の低下などの精神的フレイルに繋がってきます。

延いては要介護状態へと近づいていきます。

予防のために何をするのか?

フレイルやサルコペニアに気付かなければ治療などの介入ができませんのでスクリーニングが必要です。

フレイル:「横断歩道を青信号で渡りきれますか?」横断歩道は歩行者の速度1m/秒で設定されています。

サルコペニア:「ふくらはぎを指で囲ってもらい隙間ができるか」下腿の筋肉量低下を確認。

 

もしこれらで疑いがあればBCAAやカルシウム、ビタミンDなど栄養摂取、筋トレや有酸素運動などを指導します。

健康な状態で過ごせる期間を延ばすためにも、日頃から筋力を低下させないように意識していきたいものです。

国家試験問題で理解度をチェック!

医師国家試験 113F27

身体的フレイルの評価基準として誤っているのはどれか。

a 易疲労感
b 握力の低下
c 睡眠時間の短縮
d 歩行速度の低下
e 日常生活活動量の低下

正解・解説はこちら
正解はcです。

上記の通り、フレイルの診断基準は易疲労感、体重減少、握力低下、歩行速度低下、身体活動量の低下です。


 

第52回理学療法士国家試験 午前25

フレイルの説明で正しいのはどれか。
1. サルコペニアと関連がある。
2. 体重は増加している者が多い。
3. 虚弱高齢者とは区別される病態を有する。
4. 地域在住高齢者での該当者は2%程度である。
5. 精神的な活力の低下は判断の要素に含まれない。

正解・解説はこちら
正解は1です。

1、2:フレイルは上記の通り、サルコペニアを含む概念なので、体重減少の方が多いです。

3:フレイルはもともと虚弱とも訳されており、健常者から要介護の中間を指しますので区別される病態ではありません。

4:フレイルの有病率は約5%だそうです。もちろん地域や国でかなり異なります。参考:高齢者のフレイルと身体活動

5:フレイルは身体的、社会的、精神的の3つを含みます。精神的な活力低下も判断の要素です。


医師国家試験 114C17

加齢に伴う筋力の低下、関節や脊椎の病気および骨粗鬆症などによる運動器の障害のため移動機能の低下をきたし、要介護となる状態やそのリスクの高い状態を表す概念はどれか。

a クラッシュシンドローム
b ダンピングシンドローム
c メタボリックシンドローム
d ロコモティブシンドローム
e コンパートメントシンドローム

正解・解説はこちら
正解はdです。

まとめ

サルコペニア:筋肉量の低下に伴う筋力や運動機能の低下

↓に含まれる

ロコモティブシンドローム:運動器障害による移動機能の低下

↓に含まれる

フレイル:加齢とともに筋肉や認知機能が低下して、要介護や死亡の危険性が高い状態


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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