病態

サルコペニアとフレイル、ロコモティブシンドロームの違い

2018年11月6日

はい。よく違いがわからないシリーズです。端的にこれらの違いや関係を説明できるでしょうか?恥ずかしながら私はできませんでした。

なので個人的に調べてまとめてみました。参考になれば幸いです。

サルコペニア

サルコ=筋肉、ペニア=減少なので筋肉量が減る状態を指しています。

加齢に伴う筋量・筋力の低下と定義され、「加齢性筋肉減少症」と訳されることもあります。

ものを飲み込むことを嚥下といいますが、食べ物を噛む咀嚼筋群、食べ物を口から喉に送り込む舌下筋群、逆流しないようにする食道括約筋などが関与しています。

これらの筋肉が衰えてしまえば、誤嚥をきたしやすくなります。

足の筋肉が衰えてしまえば歩行しにくくなり転倒のリスクも高くなってしまいます。

アジア人の診断基準は以下の通りです。

歩行速度:0.8m/秒以下

握力:男性26kg未満、女性18kg未満

筋肉量の低下:四肢骨格筋量(DXA法):男性7.0kg/㎡未満、女性5.4kg/㎡未満

 

筋肉量の低下に伴い、筋力や運動機能が低下する流れをイメージすると覚えやすいです。

握力もしくは歩行速度の低下があって、さらに筋肉量の低下が示されればサルコペニアと診断されます。

フレイル

フレイルとは、「虚弱、衰弱」を意味し、加齢とともに筋肉や認知機能が低下して、要介護や死亡の危険性が高い状態です。

健康な状態と要介護状態の中間と考えるとわかりやすいです。

筋肉だけでなく認知機能も含めていることがポイント。

幅広い概念ですので、社会的、身体的、精神的の3つに大別されます。

社会的:独居や閉じこもり

身体的:嚥下機能低下(サルコペニア)、低栄養

精神的:うつ、意欲・判断力・認知機能低下

診断基準は以下の通りです。3つ以上該当すればフレイルと診断されます。

体重減少:6か月で、2~3kg以上の体重減少

握力:男性26kg未満、女性18kg未満

疲労感:ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする

歩行速度:1.0m/秒以下

身体活動:定期的な運動・スポーツをしていない

 

サルコペニアの診断基準と比較すると、握力、歩行速度の項目は共通です。筋肉量の減少という項目も、体重減少と読み替えればすべての項目が同じになっています。

サルコペニアをベースにしてフレイルになっていくという流れが見えてきたかと思います。

ロコモティブシンドローム

運動に関わる骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経のことをまとめて運動器といいます。(運動器の構成要素に筋肉が入っていますので、サルコペニアはロコモティブシンドロームに含まれます。)

ロコモティブシンドロームは運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指します。移動機能とは立ったり座ったりする機能を指すようです。

具体的には骨粗鬆症、脊柱管狭窄症や、変形性関節症などで日常生活に支障をきたした状態をいいます。

2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。整形外科の先生いわく、「世間でメタボリックシンドロームが有名になってきたから、整形外科からも何か出さないといけないと思った」とのことでした。

歩行などの移動機能が障害されればどこかに出かけるのが億劫になりますし、寝たきりにもなりやすくなります。リスクが高くなります。

それぞれの関係は?

日本老年医学会 「ロコモティブシンドロームにおけるサルコペニア の位置付け」より引用

上の図のように、サルコペニア∈ロコモティブシンドローム∈身体的フレイルとなっています。

わかりやすいようにストーリーにしてみると、

歳をとるにつれて筋力が低下してきた(サルコペニア)ので、どこかに出かけるのも困難で億劫になってしまった(ロコモティブシンドローム)。

この状態を身体的フレイルといいます。

さらに、身体的フレイルによってあまり外出しなくなると、閉じこもりなどの社会的フレイルや、人と会話しなくなるために認知機能の低下などの精神的フレイルに繋がってきます。

延いては要介護状態へと近づいていきます。

予防のために何をするのか?

フレイルやサルコペニアに気付かなければ治療などの介入ができませんのでスクリーニングが必要です。

フレイル:「横断歩道を青信号で渡りきれますか?」横断歩道は歩行者の速度1m/秒で設定されています。

サルコペニア :「ふくらはぎを指で囲ってもらい隙間ができるか」下腿の筋肉量低下を確認。

 

もしこれらで疑いがあればBCAAやカルシウム、ビタミンDなど栄養摂取、筋トレや有酸素運動などを指導します。

健康な状態で過ごせる期間を延ばすためにも、日頃から筋力を低下させないように意識していきたいものです。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。