グーフィス錠®(エロビキシバット)の作用機序と副作用

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作用機序

2018年4月にEAファーマが開発し、持田と併売するに至った、世界初の胆汁酸トランスポーター阻害薬になります。

慢性の便秘に用いる薬で、商品名はグーフィス®、成分名はエロビキシバットです。

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まずは胆汁酸の復習から

胆汁酸についてざっくりおさらいしましょう。

胆汁酸は肝臓でコレステロールを原料に作られ、胆汁の主成分として胆嚢→胆管→oddi括約筋→十二指腸に分泌されます。

分泌された胆汁は食物(主に脂質)とミセルを形成して、吸収に重要な役割を持っています。その後回腸から吸収されて門脈を介して肝臓へ戻ってきます。これが腸管循環です。

 

グーフィス®(エロビキシバット)の作用機序

お待たせしました。本題です。

胆汁酸は回腸末端の胆汁酸トランスポーターによって再吸収されていきます。

グーフィスはこの回腸胆汁酸トランスポーターIBAT(Ileal Bile Acid Transporter)を阻害することで、胆汁酸の再吸収を阻害します。

結果、吸収されなかった胆汁酸は大腸へ流れ込み、大腸の水分の分泌と蠕動運動を促進させることで排便を促します。

 

名称の由来

商品名の由来は、「good」+「feces」=良い+便→グーフィス®

成分名elobixibatエロビキシバットは、ixibatの1つ目のiはinhibitor(阻害薬)で、ibatが作用部位である回腸胆汁酸トランスポーターIBAT(ileal Bile Acid Transporter)となっているので名称から作用機序を思い出しやすいですね。

 

物理化学的特性と体内動態

グーフィス錠 インタビューフォームより引用

構造を見ると炭素が多く水に溶けにくそうですね。

実際に、右端にH2Oが付いていて、溶けにくいからこそ水和物にしていることがわかります。

物理化学的性質の項目からは、pKa=3.7でした。酸性薬物だからこそ、同じ酸の胆汁酸のトランスポーターに親和性を持つのでしょうか。

グーフィス錠 添付文書より引用

主排泄経路は糞便中との記載がありました。

それを裏付けるように血中濃度の表をみても、単位がpgやngとごく微量なので、体内にはほとんど吸収されないことがわかります。

 

食前投与の理由

人間の身体はよくできていて、経口で食事をするとコレシストキニンが分泌され、胆嚢が収縮して胆汁が十二指腸へ分泌されます。

食後投与では胆汁が分泌されてしまいトランスポーターを介して再吸収されてしまいます。食前投与で先にトランスポーターを阻害してしまえば胆汁分泌されても再吸収を防げます。

相互作用

禁忌ではありませんが、いくつか注意すべき薬剤があります。

胆汁酸製剤:ウルソデオキシコール酸などは、グーフィスの作用機序からも作用が減弱されてしまいます。アルミニウム含有製剤やコレスチラミンは胆汁酸を吸着するためグーフィスの作用が減弱します。

P糖タンパクの基質:ダビガトラン・ジゴキシンはグーフィスの弱いPgP阻害作用によって排泄阻害→血中濃度の軽度上昇がみられるので要注意です。

 

副作用

承認時の国内臨床試験での主な副作用は、腹痛120例(19.0%)、下痢99例(15.7%)

頻度が高いですが、グーフィスがしっかり効いたため水分分泌と蠕動運動亢進→腹痛・下痢と、効果発現を感じさせる副作用しか列挙されていません。

 

しかし、最初に書いた通り、グーフィスは脂質の吸収に関与している胆汁酸の再吸収を阻害しますので、肝臓に帰ってくる胆汁酸が減ります。

そのためコレステロール→胆汁酸の反応が亢進し、コレステロール値が下降します。

臨床検査においては、LDL-コレステロール濃度は、本登録日、2週来院日(中止日)の順に、プラセボ群において 113.4±31.5mg/dL(平均値±標準偏差)、114.9±31.4mg/dL、本剤群において 117.9±29.9mg/dL、104.5±25.9mg/dLであり、本剤群で本登録日に比べ投与後は低い値を示した。 その他の検査項目、バイタルサインにおいては、いずれの投与群においても明らかな変動は認められなかった。

 

医学部で消化器を学んだ薬剤師医学生からすると、回腸切除の症例で見られる術後の合併症を逆手にとったかのような薬剤に思えます。

医師国家試験 105E43より引用

59歳の女性。水様下痢を主訴に来院した。生来便秘気味で下剤を使用することがあった。2年前に膿瘍形成を伴う急性虫垂炎のため約20cmの終末回腸を含む回盲部切除術を受け、それ以来下痢となっている。排便は4~10回/日であり、夜間に便意のため目が覚めることもある。自宅近くの診療所での下部消化管内視鏡検査で異常を認めず、止痢薬、抗コリン薬、消化管運動調節薬およびプロバイオティクスも無効であるため来院した。体温36.5℃。脈拍72/分、整。血圧112/70mmHg。腸雑音の亢進を認めるが、腹部に圧痛はない。糞便検査で外観は水様、脂肪(-)、寄生虫卵(-)。便細菌検査では病原性細菌(-)。血液所見:赤血球434万、Hb 13.2g/dL、Ht 41%、白血球6,100、血小板18万。血液生化学所見:アルブミン4.2g/dL、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、AST 25U/L、ALT 38U/L、Na 139mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
この患者の下痢に最も関与していると考えられるのはどれか。
a 鉄
b 脂肪
c 胆汁酸
d 腸内細菌
e ビタミンB12

[su_spoiler title=”正解・解説はこちら” icon=”caret”]正解はcです。[/su_spoiler]

その分長期服用すると、脂質の吸収障害により脂溶性ビタミン(A、D、K、E)の欠乏が懸念されます。長期服用の患者さんには、定期的にカルシウムやリン、PTやAPTTなどの検査を行うのが良いと思います。

二次胆汁酸による発癌のリスク

ヒトの肝臓から作られる一次胆汁酸(コール酸とケノデオキシコール酸)は十二指腸に分泌され、腸内細菌によって二次胆汁酸へ変わります。

二次胆汁酸には発癌作用が危惧されています。

グーフィスは胆汁酸の再吸収を阻害するために二次胆汁酸へ変化する量が増え、ひいては腸管循環する部位である大腸癌や肝細胞癌が増えるのではないかと考えましたが、そのリスクは低いようです。

グーフィス インタビューフォームより引用

2018年発売で使用歴も浅く、どうやってヒトにおける長期使用の安全性を証明するのかと思いましたが、部分回腸バイパス手術の追跡調査結果を応用するという発想はなかったので驚きました。


以上です。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも参考になれば幸いです。

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