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C型肝炎ウイルスの増え方と治療薬の作用機序

2017年5月16日

C型肝炎ウイルスになぜプロテアーゼ阻害薬やRNAポリメラーゼ阻害薬が効くのか?そもそもどうやって私たちの体内で増えているのか?

それらについて解説しています。

C型肝炎ウイルスってどうやって増える?RNAポリメラーゼは?

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<前提知識>プラス鎖・マイナス鎖とは?

一本鎖RNAウイルスには、mRNAと同様に5’→3’末端方向に遺伝子がコードされていてそのままmRNA として翻訳できるプラス鎖と、

逆向きに3’→5’方向にタンパク質がコードされているために、リボソームではタンパク質が翻訳されないマイナス鎖があります。

後者はそのままでは翻訳できないので、RNAウイルスはRNA依存性RNAポリメラーゼによって、マイナス鎖を転写することでプラス鎖を合成して増殖していきます。

C型肝炎ウイルスはプラス鎖?マイナス鎖?

C型肝炎ウイルスHCVでは、ゲノムとしてRNA(プラス鎖)を持っています。
→mRNAとして使ってRNA依存性RNAポリメラーゼを翻訳
→元のゲノムのプラス鎖をRNA依存性RNAポリメラーゼでマイナス鎖を転写→これを元にしてプラス鎖であるゲノムを複製しています。

ここまでわかると、RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害すればRNAウイルスの増殖を抑制できることがより理解しやすくなります。

豆知識

事実、少し前まで主力として使われていたC型肝炎治療薬のリバビリンは、RNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する薬剤ですが、元々インフルエンザウイルスの治療薬として開発されていました(インフルエンザもRNAウイルス)。

しかしリバビリンはグアニン類似構造を持ち、核酸合成阻害作用をもつため貧血などの副作用の方が重篤なために、インフルエンザには使用されません。

 

ほかのRNAポリメラーゼ阻害薬はどんなものがある?

抗菌薬のリファンピシンDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで、結核菌などの細菌の転写を阻害します。

抗インフルエンザ薬のファビピラビルはRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害作用を持ちます。

しかし、インフルエンザは変異が起こりやすく耐性が生じやすいために、新型インフルエンザのパンデミックに備えて使用を制限されています。

ファビピラビルはインフルエンザウイルスだけでなく、エボラウイルスもRNAウイルスであるため、エボラ出血熱にも効能を持つと期待されています。

 

C型肝炎ウイルス治療薬の作用機序

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薬効薬理(ダクルインザ)|C型肝炎 製品情報 ダクルインザ・スンベプラ|肝炎.jp 肝炎の情報専門サイト より引用

膜タンパク質で宿主細胞へ吸着し、エンドサイトーシスにて侵入します。その後脱核して、プラス鎖であるゲノムRNAが宿主細胞質へ放出されます。

ウイルスゲノムRNAから、コアやエンベロープなどの構造タンパク質(Core、E1、E2)と、非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B)を翻訳します。

翻訳されたタンパク質は繋がっており、このままではウイルス粒子に組み立てられないため、プロテアーゼ(NS3/4A)によって構造タンパク質だけを切り取ってウイルス粒子を組み立てていきます。

切り出されたNS5AはRNA複製を開始するための複合体の一員であり、NS5BはRNA依存性RNAポリメラーゼです

ウイルスゲノムはNS5A、NS5Bによって複製されます。ゲノムと構造タンパク質は小胞体の中で組み立てられ、ゴルジ体でエンベロープに膜タンパク質の糖鎖修飾が行われ、細胞外へ出芽していきます。

各薬剤は作用機序ごとに語尾が決まっていますので覚えやすいですね。

≪NS3/4Aプロテアーゼ阻害薬≫→〜プレビル

テラプレビル
シメプレビル
アスナプレビル
バニプレビル
パリタプレビル
グラゾプレビル

≪NS5A複製複合体阻害薬≫→〜アスビル

ダクラタスビル
レジパスビル
オムビタスビル
エルバスビル

≪NS5Bポリメラーゼ阻害薬≫→〜ブビル

ベクラブビル
ソホスブビル

 

参考文献

・肝炎.jp ダクルインザ・スンベプラ薬効薬理

薬効薬理(ダクルインザ)|C型肝炎 製品情報 ダクルインザ・スンベプラ|肝炎.jp 肝炎の情報専門サイト

・日本肝臓学会 C型肝炎治療ガイドライン(2017年4月)https://www.jsh.or.jp/files/uploads/HCV_GL_ver5.4_final.pdf

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。