作用機序

オラパリブ(リムパーザ®)の作用機序

アストラゼネカ社からオラパリブ(商品名リムパーザ)が2018年4月に販売開始されました。どんな作用機序、副作用があるのでしょうか?

名前の由来

poly ADP ribose polymerase inhibitor→parib

作用機序〜PARP阻害薬とは?〜

作用機序を理解するために、まずは正常の細胞がDNAをどのように修復しているのか復習しましょう。

DNAは2本の鎖で構成されているわけですが、障害される際には、1本切れる場合と、2本切れる場合があります。

それぞれで修復の機構が異なっていて、1本鎖切断では塩基除去修復、2本鎖切断では相同組換え修復が行われます。

1本鎖切断修復に関与しているのがPARP(poly ADP ribose polymerase)

2本鎖切断修復に関与しているのがBRCA(breast cancer susceptibility gene)

PARPは「パープ」、BRCAは「ブラッカ」と読みます。

1本鎖切断修復ができない場合は、2本鎖切断修復の機構で修復されます。

BRCA遺伝子変異がある癌細胞では、BRCAがうまく働かないため2本鎖切断修復ができませんが、1本鎖切断修復はできるためかろうじて生存できています。

そこでその唯一残った1本鎖切断修復に関与するPARPを阻害してしまえば癌細胞を狙い撃ちできるのではないかと開発されたのがオラパリブ(リムパーザ®)です。

HBOCとは

HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer)とは、遺伝性乳癌卵巣癌症候群のことです。

乳癌や卵巣癌の5〜10%には遺伝的要因が関与していることが知られています。

原因遺伝子としてわかっているものは、BRCA1BRCA2遺伝子の変異です。

これは常染色体優性遺伝の形式をとります。

具体例としては、アンジェリーナ・ジョリーさんの祖母は卵巣癌、母は卵巣癌と乳癌で亡くなっておられます。

ご本人にもBRCA1遺伝子変異があることがわかったため、乳癌や卵巣癌の発症予防のために2013年に乳房切除、2015年に卵巣・卵管を切除したことで有名になりました。

卵巣癌の治療

卵巣は扁平上皮ではないので、放射線療法はあまり効きません。そのため手術+術後化学療法が原則となります。

腫瘍のサイズを小さくするほど化学療法も効きやすいという知見があるためこの流れになっているようです。

化学療法としては、TC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)が頻用されます。

なぜ白金製剤感受性卵巣癌に適応なのか

カルボプラチンなどのプラチナ製剤は、DNAの2本鎖に架橋することでDNA複製を阻害しますが、その修復過程でDNA2本鎖切断が起こります。

前述のとおり、BRCA遺伝子変異があると2本鎖切断を修復できないため、白金製剤に感受性がある卵巣癌にはBRCA遺伝子変異があると考えられます。

感受性があることをBRCA遺伝子検査陽性とみなしているのだと思います。

一方で、乳癌に用いる場合には遺伝子検査は必要です。

注意すべき副作用

骨髄抑制
間質性肺疾患
二次性悪性腫瘍
胚・胎児毒性
腎機能障害患者への投与

などがありますが、整理すると

作用機序由来→骨髄抑制、胚・胎児毒性、二次悪性腫瘍

赤血球、白血球、血小板など骨髄で増殖が盛んなものや、胚や胎児など増殖が盛んなものほどDNAの複製エラーが生じやすいため、PARP阻害薬を内服しているとそのエラーの修復機構に負荷がかかります。

修復がうまくいかなかった細胞は死ぬか(骨髄抑制、胚・胎児毒性)、癌化(二次悪性腫瘍)するかです。骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病が報告されています。

減量基準は以下のとおり。

リムパーザ錠 添付文書より引用

物性由来→腎機能障害患者への投与

肝臓・腎臓半々のハイブリッドのため、肝・腎機能障害いずれも注意が必要です。

海外の添付文書によると、クレアチニンクリアランスで50未満では1回200mgへ減量の記載があります。

CYP3Aで代謝されるためグレープフルーツジュースやCYP3A阻害薬は併用注意です。

不明→間質性肺疾患

0.6%と頻度は低いものの因果関係が否定できないためRMPに記載されています。

以上になります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。