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血液凝固カスケードのゴロや覚え方 ワーファリン®(ワルファリン)の作用機序

2018年5月27日

薬学生の方から凝固カスケードがわかりませんというお問い合わせをいただいたので解説してみました。ついでにワーファリンの作用機序に絡めてみました。

お役に立てれば幸いです。

 

凝固カスケード

一次止血は血小板が主な役割を担っていますが、二次止血では凝固因子が主役です。

凝固カスケードでは、凝固因子は活性化されて、下流の凝固因子を活性化します(例えばⅫ→Ⅻa:aはactivatedのa)。

下の図では、活性化された因子は省略して簡略化してまとめています。

凝固因子は、内因系・外因系・共通系の3つに大別されます。

◆内因系

血管内の凝固因子から開始されるため内因系といわれます。

あ〜胃にいいクッパはない

あ〜=APTT
胃に=
いい=
クッパ=
ない=内因系

内因系の凝固因子の活性はAPTTで測定します。

◆外因系

破壊された内皮細胞由来:血管外の因子(組織因子:Ⅲ)から開始される。

外人プロ並み

外=外因系
プロ=PT(プロトロンビン時間)
並み=

外因系の凝固因子の活性はPTで測定します

◆共通系

内因系と外因系以外の凝固因子がこれに該当します。

1×2×5=10

掛け算です。Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅹ因子。掛け算は皆んながわかる共通の計算ですね。

なかでも、内因系と外因系が合流するⅩ因子は重要で、ここを阻害すれば内因系由来でも外因系由来でも凝固カスケードを止められます。

リバーロキサバンやアピキサバンなどのDOAC(直接経口抗凝固薬)はⅩaを直接阻害して抗凝固作用を発揮します。

あとはⅠ、Ⅱがそれぞれフィブリノゲン、プロトロンビンということを押さえておけばいいでしょう。

<その他、効率の良い勉強法については>
効率の良い勉強法

凝固カスケードの書き方

これまでのゴロで共通系、内因系、外因系を覚えたら、あとはY字の形にあてはめるだけです。

原則として、上から下に大きい数字から書いていきます

例外として、外因系だけは3を7より上に書きます。以上です。

ワーファリン®の作用機序

ワルファリン(商品名ワーファリン)は、1962年から日本で使用され続けている歴史の長ーい薬です。薬の値段(薬価)は年々下げられますから、歴史が長いということは安い薬ということです。

経口投与する薬です。

肝臓においてビタミンK産生を阻害して、ビタミンKの存在下で産生される凝固因子がつくられるのを阻害します。
→作用が発現するまでに時間がかかります。12〜24時間ほど!

産生されるのにビタミンKを必要とする凝固因子をビタミンK依存性凝固因子といいます。これのゴロはよく知られています。

肉納豆

納豆

ゴロの中に、ワーファリン服用患者に禁忌の「納豆」が入っているのもいいですよね。

ワーファリン 服用中には、納豆は納豆菌というビタミンKを大量に産生する細菌が多く含まれているため摂取を禁止されます。

面白いことに、ワーファリンの主な代謝酵素はCYPC9(肉)なのでついでに覚えてしまいましょう。

 

PT-INRでワーファリンの効果をモニタリングする

ワーファリンは凝固因子も産生を低下させて血を固まりにくくする薬です。ですので当然効きすぎれば出血しやすくなります。そのため、凝固能の指標としてプロトロンビン時間をモニタリングします。

ワーファリンは肉納豆ですから、内因系と外因系両方の凝固因子の産生を抑制するのでAPTTもPTも延長します。

しかし、外因系のⅦ因子は半減期が1.5〜5時間と群を抜いて短いため薬効を鋭敏に反映します(例えば半減期が10日くらい長いと10日前の状態を反映しているのか、今の状態を反映しているのかわかりませんよね)。だからPTをモニタリングするのです。

心房細動では、

70歳未満:2.0〜3.0
70歳以上:1.6〜2.6

高齢者では血管が脆くなっており脳出血のリスクが高くなるため低めに設定されています。

先ほどの納豆菌のように、腸内細菌によってビタミンKが産生されます。抗菌薬を投与すれば腸内細菌叢が乱れ、ビタミンK産生量が低下し、PT-INRが上昇することがあります。

手術の前には抗凝固薬は休薬しないと出血リスクが大きくなります。その休薬期間についてはコチラ
抗血栓薬の休薬期間のゴロ・まとめ

 

抗血小板薬のアスピリンとの違いは何だっけ?』となった方はこちらをどうぞ。
アスピリンとワルファリン、抗血小板薬と抗凝固薬の違い

薬剤師国家試験で理解度をチェック!

第101回薬剤師国家試験 問308より引用

62歳男性。切除不能の再発直腸がんに対してカペシタビンとオキサリプラチン併用化学療法を開始することになった。

外来化学療法室の薬剤師は男性には循環器内科の受診歴があり以下の薬剤を服用中であることを確認した。

メチルジゴキシン錠0.1mg
1回1錠(1日1回) 朝食後

ワルファリンK錠1mg
1回2錠(1日1回) 朝食後

カンデサルタン錠4mg
1回1錠(1日1回) 朝食後

問308
薬剤師は以下の検査データを確認した。化学療法の開始に伴う相互作用による重篤な副作用を回避するため定期的にモニタリングすべき検査データとして特に重要なのはどれか。1 つ選べ。

1 クレアチニンキナーゼ値
2 PT-INR 値
3 血清カリウム値
4 血糖値
5 白血球数

カペシタビンは5-FUのプロドラッグです。5-FUはCYP2C9の活性を低下させるためワルファリンの代謝も低下し、ワルファリンによる出血の副作用が増強します。そのためワルファリンの作用のモニターであるPT-INRをチェックしていく必要があります。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。