医療従事者に必須の知識

B型肝炎ウイルスとマーカーの意義

2017年5月16日

B型肝炎ウイルスのマーカーの出現の順番とその意義はごちゃごちゃしてわかりにくいですよね。

ひとつずつみていきましょう。

B型肝炎ウイルスHBVの構造とマーカーの意義

HBVの構造は、外側から表面のスパイクタンパク質(S)→エンベロープ→カプシド→コア(C)→不完全二本鎖ゲノムDNAとなっています。
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HBs抗原:現在の感染

HBs抗体:過去の感染

HBe抗原:増殖力が強い

HBe抗体:増殖力が弱い

抗原と抗体が1対1対応で、その意義が真逆になっています。

これは抗原と抗体が1対1で結合するためです。抗体が検出されるというのは、何とも結合していないフリーの状態の抗体を検出しているのです。男女カップルで例えてみるといいかもしれません。

つまり、抗原が抗体の量を上回っていればフリーの状態の抗体はないので検出されません。逆に抗原が少なくなれば抗体がフリーが増えるので検出されてきます。

さらに細かく

それぞれの説明を加えます。

一番外側にあるHBs抗原があるということはウイルスが今現在いるということを意味しています。

一方で、HBs抗原に対するHBs抗体があると、ウイルスに結合してウイルスが細胞内へ入ろうとするのを防ぎます。これを中和抗体といいます。

ちなみに医療従事者はB型肝炎ウイルスの予防接種を受けますが、その後抗体ができたか調べているのはこのHBs抗体です。これが陽性ならば感染を防ぐことができるためです。

HBe抗原のeはエンベロープではありません。コアの中にあるタンパクで、ウイルスのDNAが増幅される際に副産物として一緒に作られてくるものです。そのため増殖の度合いをみることができます。

HBc抗原はコアタンパク質で、外側のエンベロープを除去する処理をしないと基本的には検出されません。IgM型HBc抗体が検出されたということは感染初期を意味し、低いなら過去の感染といえます。

 

HBVの増殖

薬学ゼミナール 薬剤師国家試験対策参考書 生物 2012より引用

元々ゲノムDNAは不完全で、プラス鎖だけが短い状態で存在しています。

宿主細胞のポリメラーゼで伸長して長さを整えます。そして転写してタンパク質へ翻訳し、その時にHBs抗原、HBc抗原、HBe抗原、逆転写酵素が作られます。

面白いことに、ゲノムをDNA→mRNA→DNAと複製していきます。マイナス鎖DNAを鋳型にして、(プラス鎖)mRNA を転写し、そこからマイナス鎖DNAを合成しているのです。

この二度手間には意味があって、再現性の低い逆転写酵素を使うことで変異が起こりやすく、宿主の免疫機構から逃れやすいというメリットがあります。

また、逆転写でできたゲノムDNAを宿主細胞のゲノムDNAにインテグラーゼで組み込むことですぐにウイルス粒子を作るために使えますし、休眠状態として免疫機構を逃れるのにも役立っています。

一度組み込まれると体内から完全に排除するのは難しいです。

そのため、抗TNF-αや抗CD20抗体製剤などで免疫力が低下すると再燃してしまうわけです。

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医学部へ学士編入した薬剤師です。医学や薬学について書いています。ご質問やご指摘があればお気軽にどうぞ。